プジョー308 1.6HDi 92 FAPアクティブ

公開 : 2013.11.26 22:15  更新 : 2017.05.29 19:01

■どんなクルマ?

量産車マニュファクチャラーが持っている基本的な開発の情熱は賞賛に値するものだ。

だが大方の場合、われわれは最新のクルマの競争力を計ろうとする際、クオリティや能力を最新のフォード・フォーカス、フォルクスワーゲン・ゴルフヴォグゾール・アストラ、セアトレオンなどと比較してしまうものだ。

しかしプジョーはCセグメントの競争において、新しい308によって10年前の売り上げのレベルに達することを確信している。なぜなら、すでにイギリスやヨーロッパの他の地域において、およそセグメント3位の売り上げを計上しているからだ。

プジョーはその3世代前のモデル、306でイギリス市場において成功を収めたが、その前に大成功したコンパクトカー、205に似た見た目というだけではなく、イギリスの特別にひどい舗装をライバルのフォードやフォルクスワーゲンよりもうまくいなしていたためだった。

彼らも完全に理解しているため、新しいスタイリングにモジュラー・プラットフォーム、製品クオリティの向上や軽量化に投資を惜しむことはなかった。

その結果、印象的なクルマたちで構成されるセグメントの中でもとりわけ印象的なクルマとなる。だが、この308がイギリスでの見通しを立てるには知っての通り、この特別にチャレンジングな道路を攻略せねばならない。

そして初めてイギリス仕様車をドライブする機会がやってきた。“e-HDi 115 Feline”グレードは、6段M/Tを装備し、オールガラス製のパノラミックルーフ、アルカンタラ表皮のスポーツシート、18インチ・アロイ・ホイールによって彩られる。

■どんな感じ?

ファーストタッチは以前よりもかなり好印象だ。
プジョーのデザイナーは必ずしも先鋭的とは言えない(フォルクスワーゲン・ゴルフの成功を見るに、ラディカルさは市場で求められていない)スタイリングを新しいクルマに施したが、それでもより丸く、モダンな形状を与えている。新しいデザインは、まるでカエルの口のようなワイドなグリルが掘られ、自然な形状のフォグ部、ルックスの良いヘッドライトを組み合わせたフロントマスクを、(とても重い)先代モデルに対し140kgもの軽量化が成されたボディに合わせている。

先代に対してかなりの向上が図られた内装デザインと組付クオリティも大きなニュースだ。少なくともクラス平均レベルを追い越し、ライバルたちが禁欲的、もしくはオーバークオリティに思わせるだけのものを持っている。

インパネのほとんどの操作を印象的な見た目の9.7インチ・タッチスクリーンで行う設計で、見事な動作を見せるが、こういった先進装備に慣れない古い世代のために、ダイヤルやボタンで操作できるエアコンやラジオも同時に設定された。

新たなプラットフォームによって再設計が可能だったはずだが、このクルマは典型的なプジョーのドライビング・ポジションが取られる。つまるところ、豪華なシートに、フラットで近すぎるペダル配置、いくらかのドライバーには小径ステアリング・ホイールがインストルメントパネルの目隠しをしてしまう設計のことだ。

綿密なチューニングにより大方のドライバーには対処可能であるが、それでもまだ、ごく少数のドライバーはフォードやフォルクスワーゲンのシートほど簡単には快適さを得られないだろう。プジョーはメーターをステアリングの上に配置する手法の成功を確信しているが、彼らが成すべきことはまだ残されている。

この小径ステアリングは路上でもかなり改善されており、例えばタイトコーナーでのぐらつきはかなり減らされた。プジョーは新に導入したオール電制ラック・アンド・ピニオン・システムのフィーリングを、208に対し大きく改善している。もっとも、ゴルフやフォーカスがまだ上を行っているのだが。

プジョーの1.6ℓディーゼル・エンジンはこの10年でかなり印象的だったが、比較的控えめな114bhpのパワーを持つ最新のe-HDiユニットは、普段使いであれば非常にスムーズかつ洗練されており、ある一定の条件においてほぼ完全に無音になるほどである。ただし、ムチを入れてもその対価は得られない。豊富なローエンド・トルク(28.0kg-m/1750rpm)が得られる回転数で走らせるべきだ。

他のディーゼルユニットはもう少し応答性が高いのだが、このe-HDiユニットが最もギヤボックスにマッチしており、多くのドライバーにメリットを提供する。308の0-100km/hは特に見るべきものはないが、190km/hのトップスピードにまで達することができ、6速の低い回転数でも活発さを呈し、高速道路などで簡単に速度を維持することが可能だ。燃費は極めて良好で、燃費計はしばしば17km/ℓ台半ばの数値を指し示す(公称の欧州混合燃費は26.3km/ℓ)。CO2排出量は98g/kmだ。

コーナリングはスピードが増すにつれニュートラルからアンダーステア傾向が顔を出し、同じクラスのクルマ(特にフォーカス)に対し、若干ロールが大きい特性となる。柔らかいサスペンションは路面が不規則なイギリスの道では歓迎されるべき事項だが、しかし308は不整地路面においてクラス平均を上回ることはない。

第一印象は良いのだが(大きな凸凹でもクルマの姿勢はフラットに保たれる)、我々の期待よりも多くのロードノイズを拾ってしまう。イギリスはフランスから35km程度しか離れていないはずだが、プジョーのエンジニアたちはまだ気づいていないようだ。

■「買い」か?

買ってもよいが、ゴルフ、アストラ、フォーカス、レオンを試す前に判断を下すべきではない。

これらのクルマは全て平均以上の力を持っているが、それぞれが異なる美点と欠点を持ちあわせており、それがユーザーの選択を悩ませる点となっている。これらのクルマを購入予定ならば、全てのクルマを試乗してから決定するべきだ。ただし、ルックスが良く、ライバルよりインテリアが快適で、1.6ℓのディーゼルエンジンに、より洗練されたメカを求めるならば、プジョー308を選ぶことをおすすめする。先代よりもクイックになり、遊びが少なくなった小径ステアリングも、多くのユーザーにアピールするだろう。

正しい比較をする前にランク付けをするならば、新しいプジョーはセグメント・トップであるゴルフとフォーカスの下に配置される。特にイギリスでのロードマナーはクラスベストより下だ。ただし良いクルマであることは間違いなく、先代モデルよりもユーザーに対し大幅に印象を与えられるに違いない。

(スティーブ・クロプリー)

プジョー308 1.6HDi 92 FAPアクティブ

価格 £17,895(293万円)
最高速度 190km/h
0-100km/h加速 11.3秒
燃費 26.3km/ℓ
CO2排出量 95g/km
乾燥重量 1340kg
エンジン 直列4気筒1560ccターボ・ティーゼル
最高出力 91bhp/4000rpm
最大トルク 23.9kg-m/1750rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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