【運転席も素晴らしい】メルセデス・ベンツSクラス S 500へ試乗 レベル3を実現 前編
公開 : 2020.11.11 10:20
空力性能を高めるフラッシュ・ハンドル
フロントグリルは大きくなり、新技術を搭載したヘッドライトはツリ目でシャープに。ボディ側面は、滑らかで装飾的要素が少ない。リア周りは傾斜を強め、LEDのテールライトがトランクリッドまで伸びる。後ろ姿は、CLSにも似ている。
英国に導入されるSクラスの場合、スポーティなAMGスタイリング・パッケージが標準。ドアハンドルは2種類が用意される。従来どおりのグリップハンドルと、キーを近づけると電動で飛び出す、フラッシュフィットのドアハンドルだ。
このフラッシュフィット・ハンドルは、ほぼ全面がフラットなアンダーボディなど、空力特性を改善する要素の1つ。空気抵抗、Cd値を通常のドアハンドルが備わる時の0.24から、0.22に低減させるという。
ボディサイズは先代より34mm長く、55mm幅広く、12mm高い。ロング・ホイールベース版の場合、51mmホイールベースが伸び、3216mmとなる。
大きくなったぶん車重は増え、主要構造の60%がアルミニウムなのにも関わらず、S500 4マティックでは1990kg。直接比較できる先代はないものの、メルセデス・ベンツによれば、55kg増加したとしている。
新しいSクラスが基礎とするのは、MRA(モジュラー・リア・アーキテクチャ)の大改良版。後輪操舵システムが、改良で重要なポジションにあった。
2段階のステアリング・アシストが選べ、最大4.5度までリアタイヤの向きが変わるものと、より大きく、最大10度まで向きを変えるものが用意される。試乗車に付いていたのは、4.5度までのものだった。
容姿は保守的でも、インテリアは華やか
後輪操舵システムは小回りにも有利。ロング・ホイールベース版Sクラスの最小回転直径は、4.5度で先代より0.9m小さく11.9m。10度では1.9m小さく、10.9mになる。
サスペンションは、標準でエアサスペンションのエアマティックと、最新版のアダプティブ・ダンパー、ADS+が組み合わされる。そこへ、Eアクティブ・ボディコントロールが付く。
すっかり説明が長くなった。Sクラスのドアを開けてみよう。
容姿は保守的だが、インテリアは見事なほどに華やか。デザインや人間工学、快適性や装備など、Sクラス流のアプローチに溢れている。
ダッシュボードは、大きなウッドパネルが中央を飾り、ドアパネルにまでなめらかに伸びる。エアコンの送風口は、長方形の上品なデザインだ。柔らかなクッションの運転席に座ると、大きなデジタルモニターに目が奪われる。
オプションで3Dエフェクトも指定できるメーターパネルは、12.3インチ。インフォテインメント・システム用は、縦長の11.9インチ。タッチモニターで、エアコンを始め多くの機能のインターフェイスになる。
レザー巻きのステアリングホイールには、リム内にデュアルゾーン・センサーを内蔵。ドライバーがステアリングホイールを握っていることを、しっかり検知する。タッチセンサーがスポーク部分に並び、AT用のシフトパドルも付く。
上質な素材に相応しい高級感に溢れ、操作系のレイアウトも整っている。スターターボタンを押す瞬間から、Sクラスにすっと馴染めるだろう。
この続きは後編にて。