【詳細データテスト】アストン マーティンDBX 絶対値よりバランス重視 自然なハンドリング 惚れるサウンド
公開 : 2020.11.07 11:50 更新 : 2020.11.14 16:49
結論 ★★★★★★★★★☆
もしもアストン マーティンが自社初のSUV開発を通じて、ほかの超高級車やエキゾティックカーのメーカーに教えられることがあるとすれば、おそらく妥協が重要だということだ。
スーパーSUVはなんでもできるクルマのように思われる。だが、万能性を謳うコンセプトやテクノロジーのポテンシャルに惹かれたとしたら、本質を見失いかねない。
しかし、もしそのブランドのコアとなる特質をしっかり把握していれば、ハイエンドSUV市場への参入で大きな成功を収められるはずだ。アストン マーティンの場合なら、それは独特な外観や贅沢なインテリア、スポーティな走りだけでなく、没入できるような手触りや表現力豊かなキャラクターも含む。
実用性や性能、洗練性なら、DBXを凌ぐライバルも存在する。しかし、アストンとしてはこれ以上使い勝手がよく融通の効くクルマはこれまでになかった。それでいて、多くのビッグなアストンがそうであるように、サウンドを楽しめて、走りは夢中にさせてくれるものがある。みごとな成果だ。
競合モデルの中には、そうした点にあまり目を向けなかったものもある。しかし、少なくとも走りにこだわるドライバーにとっては、DBXのようなもののほうが、結果的により魅力的だと感じられるのではないだろうか。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
ランボルギーニ・ウルスとは、決定的な違いがある。ウルスがスーパーカー的な性格をみせようとするのに対し、DBXは独自の流儀を作り出している。なめらかさと正確さにフィールも加わった走りはじつに好ましかった。
サイモン・デイヴィス
DBXを飛ばしたときの乗り心地はすばらしい。その物腰は優しく、アストン マーティンの2ドアGTにみられるのとまったく変わらない感覚だ。
オプション追加のアドバイス
テスト車のオニキスブラックより、明るめの色を選んだほうが、視覚的な軽やかさが生まれるだろう。また、テスト車に装着されていたリボンと銘打たれたホイールは、ちょっとデザインがうるさい気もする。
改善してほしいポイント
・セカンダリーライドの突き上げは、もっと打ち消されていていいところ。16万ポンド(約2240万円)級のアストンなら、バンプを乗り越える際に衝撃音が起きるようなことがあってはならないところだが、ときどきそれがある。
・パワートレインのラインナップ拡大を。プラグインハイブリッドがあれば購入したいユーザーは多いだろうし、V12モデルをみたいという声も少なくないはずだ。
・前席の設計見直しを。クッションはやや長すぎ、横方向のサポートはやや足りない。