【トヨタの隠し玉!?】日野、縁の下の力持ち→表舞台へ なぜ今なのか EVトラックなど続々導入 テスラ対抗も
公開 : 2020.11.06 11:51 更新 : 2022.09.26 14:39
トラックやバスの製造をおこなう日野が電動化やデジタル化など、次世代戦略を次々と実行に移しています。なぜここへきて一気に表舞台に出てきたか。考えます。
日野自動車、一気に次世代シフト
日野自動車(以下、日野)のイメージが大きく変わった。
まるで、テスラ対抗とも思える、積極的な将来構想を明らかにしたのだ。
2020年10月29日におこなった、日野の2020年第2四半期(上期)決算発表では、電動化戦略を主体とする次世代事業計画について詳しい説明があった。
そのなかで明らかになったのは、超低床・前輪駆動の小型EVトラックを2021年度に公道実証し、2022年度から市場導入を目指すという点だ。
その他、2025年度までに日本・北米・アジア市場で、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車の各種事業を本格化させる。
これが、日野がいう「チャレンジ2025」の “一部” である。
クルマの電動化といえば、米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が2020年9月に「2035年までに(ガソリン車やディーゼル車等の)内燃機関の新車販売を禁止する」と発言。
これに先立ち、トラックなど商用車向けにも、乗用車と同様にZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制を適用する考えだ。
中国でも2020年10月後半、政府機関から2035年に向けた電動化に関する政策が公表され、途中段階である2020年や2030年それぞれの時点で達成目標を示した。
こうしたなかで、日野の動きは、トヨタ、ホンダ、日産など日系乗用車大手の凌ぐような大胆な戦略に思える。
トラック電動化 日野のライバル2社
日野が進めるトラックの電動化で、直接的なライバルとなる企業は2つある。
1社は、テスラだ。
2010年代中盤から上級EV「モデルS」「モデルX」の生産体制を着々を築き上げながら、中型EVである「モデル3」へと事業を広げてきた。
コロナ禍にあっても「モデル3」の販売は好調で、直近の月販販売台数はアメリカ国内で3万台を超えた。トヨタの主力モデル「カムリ」を凌ぐ勢いである。
こうした追い風をフル活用し、2023年を目途に2万5000ドル(約265万円)のテスラモデルのラインナップとしてエントリーモデルとなる新型EV市場導入すると、同社の株主総会でイーロン・マスクCEOが明らかにしたばかりだ。
テスラのモデル拡張はこれだけに止まらず、ピックアップトラックの「サイバートラック」、さらに大型トレーラー「SEMI」の開発を進めている。
2社目は、ゼネラルモーターズ(GM)だ。
大型EVトラックのベンチャー企業である二コラについて、当初は提携関係だったが、二コラ創業者の退任によって、GMが二コラ事業を主導するかたちとなった。
また、ピックアップトラックについては、GM自社開発のEVプラットフォーム・アルティウムを使うGMC「ハマーEV」の技術詳細が公表されたばかりだ。
日野としては、適材適所の電動化戦略で、テスラやGMを迎え撃つ構えだ。