【オープンでもスーパーファスト】フェラーリ812 GTSへ試乗 0-100km/h 3.0秒 339km/h超
公開 : 2020.11.13 10:20
0-100km/h 3.0秒以下、最高速339km/h以上
アクセルペダルを踏むと、大排気量にも関わらず、狂気のごとく吹け上がる。最高出力は8500rpmで発生する。73.1kg-mの最大トルクは、7000rpmまで得られない。
しかし、80%のトルクは3500rpmから引き出せる。ほとんどの場面で、充分以上にたくましい。
フェラーリは、812 GTSからスーパーファストの文字を省いたが、遅くなったわけではない。0-100km/h加速は3.0秒以下で、最高速度は339km/h以上も出る。
デュアルクラッチATも、今のクルマで選べるトランスミッションでベストといえる1つ。スムーズでクイック。オートマティック・モードのままでも痛快だ。マニュアルモードなら、さらにイイ。
環境負荷を抑えるため、アイドリング・ストップ機能が付く。それでも燃費は6.1km/Lで、CO2は373g/kmも排出量する。理想を求めると、できることには限度が出てくる。
812 GTSは、英国の高速道路でも、運転を楽しめる。流れに合わせて走っていても。全長は4693mmで全幅は1971mmもあり、四隅を掴みにくいが。
現代のフェラーリらしく、ステアリングは相当にクイック。俊敏性を強く感じさせる。
フェラーリは、812 GTSの重さは乾燥重量で1600kgだと主張する。スーパーファストを燃料満タンの状態で計測した結果は1725kgだったから、812 GTSは1800kgくらいのはず。しかし、とても鋭く向きを変える。
乗り心地も良好。アダプティブダンパーには2種類のモードがある。バンピーロード・モードは、英国のアスファルトにぴったりだ。モードの違いはわずかだが、良く機能している。エンジニアとテストドライバーの、最終的な判断のおかげだろう。
劇場的な刺激を楽しめる至福の時間
ステアリングの操舵時の重さは、モードを変えても同じ。もう少し、反応が穏やかでも良いと思うドライバーもいるはず。
筆者がフェラーリ812スーパーファストを運転してからしばらく経つが、熱狂度合いは、812 GTSの方が若干穏やか。ダンパーが少し柔らかいのかもしれない。フォールディング・ルーフで増えた車重のせいかもしれない。
不安定さはみじんもない。800psもある後輪駆動で、路面の温度が低い11月だから、無茶はできない。それでもルーフを開けたり閉じたりして、劇場的な刺激を楽しみながらのドライブは、至福の時間だ。
ルーフを開いても、バッファー音の発生は小さい。ルーフを閉めても、リアウインドウだけを開けることができる。エグゾーストノートを直接車内に響かせられる。
個人的には、アストン マーティンDBSスーパーレッジェーラ・ヴォランテがお気に入り。でも、フェラーリ812 GTSの積むエンジンの荘厳さは別格。
ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ ロードスターも、同様に見事なエンジンを積んでいる。ただし向こうは、スーパー・グランドツアラーというより、オールドスクールなスーパーカーといった雰囲気が強い。
812スーパーファストは、クラスでの真の勝者となるには、長距離走行に対応できる乗り心地でわずかに及ばなかった。少しシャシーが柔らかくなり、角の取れたフェラーリ812 GTSは、スーパー・グランドツアラーという性格付けに適っている。とても。
フェラーリ812 GTS(英国仕様)のスペック
価格:29万3150ポンド(3957万円)
全長:4693mm
全幅:1971mm
全高:1276mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:3.0秒以下
燃費:6.1km/L
CO2排出量:373g/km
乾燥重量:1600kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:800ps/8500rpm
最大トルク:73.1kg-m/7000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック