【運転すればわかる良さ】BMW 4シリーズ 420d Mスポーツ・クーペへ試乗 マイルドHV 後編
公開 : 2020.11.16 10:20
BMWらしい優れた技術力と、一新されたインテリアでドライバーを惹き付ける新しい4シリーズ・クーペ。フロントグリルに注目が集まりますが、ハンドリングとパフォーマンスは、強い訴求力を持つと英国編集部は評価します。
不満のないエンジンと、優れたハンドリング
新しい4シリーズ・クーペ、G22型BMW 420dが搭載する4気筒ディーゼルターボは、低回転域での活発さとレスポンスが従来より向上。たくましいトルク感で、扱いやさも従来以上に高められている。
高めのギアを保ったままの中間加速でも、ハーフスロットルで生じるターボラグは極小。420dは鋭く気持ちよく加速していく。3500rpmを超えた回転数では活気に陰りが出てくるものの、引き出せる速さは多くの目的に必要十分。
エンジンに不満を感じるドライバーは少ないはず。ディーゼルという枠に限らず、機械的な洗練度にも高い評価を与えたい。間違いなく、パワートレインは長距離ドライブを安楽にこなせるだけの余裕を備えている。
シャシーの仕上がりも優秀。420dの乗り心地は完璧とはいえないものの、滑らかな高速道路を快適に処理する以上の懐がある。優れたハンドリングも、新しい4シリーズ・クーペを際立たせるものだ。
英国に入って来る4シリーズは、Mスポーツか、よりスポーティなMパフォーマンスというトリムグレードのみ。アダプティブダンパーは、ランフラットタイヤとの組み合わせでのみ設定できる。
今回の試乗車、420dが履いていたのは、標準の18インチ・アルミホイールに、一般的なラジアルタイヤ。サスペンションは、アダプティブではないMスポーツ・タイプだった。
レーザー光に導かれるような滑らかさ
新しいBMW 3シリーズのMスポーツと比較して、420dの乗り心地はやや硬く、引き締まった姿勢制御が与えられている。一方で、ハンドリングの軽快さや横方向の姿勢制御での違いは、はっきり感取できるほどではない。
ただし3シリーズはサルーンでありながら、すでに上質なハンドリングを備えている。4シリーズも、それに準じている。つまり、素晴らしい。
進行方向に対する安定性や反応のリニアさ、敏捷性やコーナリング時の落ち着きなどのバランスに優れ、訴求力が高い。走りにこだわりを持つドライバーを、がっかりさせることはないだろう。
滑らかな舗装で、視界に優れた高速コーナーでは、その甘美さを強く味わうことができる。近年のBMWに共通する、典型的な特徴といえる。
19インチのアルミホイールにアダプティブ・ダンパーという組み合わせが、英国の一般道で今回の仕様とどのような違いを生むのか、興味深いところ。恐らく、試乗車より顕著にスムーズになることはないだろう。
4シリーズ・クーペは、カーブの続く大自然の中を、ハイペースで走り込むようなタイプではない。そのかわり、高速道路での快適性は優れている。420dなら、18km/L以上の燃費で、何時間も連続して走り続けていられる。
技術的な洗練度と豊かさ、見事な落ち着きとレーザー光に導かれるような滑らかさは、ドライバーの自信を高めてもくれる。フロントグリルが気に入るのなら、乗り心地も気に入るはず。