【2020年のベスト・ハイブリッド】トヨタ・カローラ 普通に乗れるハイブリッド 英国編集部選出
公開 : 2020.12.29 21:45 更新 : 2021.01.28 16:58
トヨタが一新したカローラ。ハッチバックのスポーツとステーションワゴンのツーリングが、ベストハイブリッド・モデルとして選出されました。反応良く機敏で扱いやすい走りと、従来のクルマと変わらない運転の質感を評価しています。
運転する楽しさと、ハンサムなデザイン
新しいカローラは、トヨタのデザイン力や技術力だけでなく、企業としての健全性や目指す方向性など、多くのことを物語っている。従来までのカローラとは、大きく異なる。
5ドアハッチバックの先代はオーリスという名前で、極めて普通で、刺激のないクルマだった。自動車の白物家電とさえ、われわれが呼ぶほど。
デザインも、当時のトヨタの典型。ハイブリッドという新技術に対する不信感を払拭するためか、没個性的で不快感を与えない、ということが目指されていた。
でも、新しいカローラは違う。デザインはハンサムで、ポジティブな主張にあふれている。2.0Lのハイブリッド・エンジンと磨き込まれたシャシーは、運転してガッカリすることもない。
クロスオーバーのC-HRでも、運転の楽しさに対するトヨタの真摯さを感じ取れた。それを超える感銘を、カローラは与えてくれる。ハイブリッドは、決してクルマを鈍くすることがない、という模範解答ともいえる。
このプロダクト革命をもたらしている理由の1つが、TNGA-Cプラットフォーム。ボディ剛性を高め、低重心化を果たし、四輪ともに独立懸架式のサスペンションを採用できる。
乗り心地やハンドリングも秀逸。ライバルと比べれば、スポーティ度では及ばない。しかしリニアで落ち着きがあり、角の取れた、洗練された感覚を与えてくれる。動的性能に対する良質な設計と、入念なチューニングよって達成できる内容だと思う。
明確なハイブリッドのメリット
トヨタは過去数十年に渡って、ハイブリッド・システムの開発と改良を重ねてきた。ここ5年ほどのモデルでは、ドライバビリティの面でも、ハイブリッドのメリットを明確に感じ取れる。
新しいカローラには、2.0Lのガソリンエンジンに大きなモーターとバッテリーを採用。ドライバーを惹きつける活気ある動的性能と、優れたドライビング体験を獲得している。
カローラを穏やかに運転すれば、市街地でも18.0km/Lを超える燃費が得られる。積極的に運転すれば、想像以上にレスポンシブで速いということにも気付ける。
ハイブリッドでありながら、バッテリーの充電は気にせず、ガソリン補給だけで走り続けられる。最近のトヨタ・カローラは、すっかり素晴らしいクルマに生まれ変わった。
審査員コメント
Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
先代のトヨタ・オーリスから一新した、カローラ。過去をさかのぼっても、これほど大きな進化を果たしたモデルには、なかなかお目にかかれない。運転する楽しさがあり、所有する喜びがある。
2.0Lエンジンのハイブリッドも、20年以上の開発の成果を感じさせてくれる。ひとことでいうなら、至ってノーマル。その言葉は否定ではなく、賛辞だ。トヨタの達成した電動化技術の水準の高さを、端的に表現していると思う。