【70年の伝統と進化】モーガン・プラス4 コンペティションと70thアニバーサリー 前編
公開 : 2020.11.28 07:20 更新 : 2020.12.08 08:18
英国を代表するオープンスポーツのモーガン・プラス4は2020年に誕生70年を迎え、新世代のプラス・フォーへとバトンタッチします。その歴史と希少なコンペティション、70thアニバーサリーをご紹介しましょう。
70年間大きく変わらないという伝統
英国を代表するブランドの1つ、モーガン。小さなスポーツカー・メーカーにとって、伝統の意味するところは大きい。
ポルシェは、911を50年かけて大切に育ててきた。その間に車重は増え、ボディサイズはずいぶん成長している。では、さらに20年長い歴史を保つ、モーガン・プラス4はどう変化したのだろう。
エンジンは何度か別のユニットが選び直され、現代化という名のもと、必要な変更が加えられている。だが、1950年のアールズコート(ロンドン)自動車ショーで発表されて以来、2020年の今まで、基本的にその姿は変わっていない。
1122ccのモーガン4/4よりパワーが欲しい、というドライバーへ応えるために誕生したのが、モーガン・プラス4。創業者、フレデリック・スタンリー・モーガンの息子、ピーター・モーガンは、スタンダード・ヴァンガードという4ドアサルーン用の2088cc 4気筒エンジンを選んだ。
税制的な理由で、フレデリック・スタンリーは1750cc以下のエンジンを希望していた。だがピーターは上手にごまかし、オーバーヘッド・バルブの4気筒エンジンをモーガンに搭載。父と一緒にドライブを楽しみ、納得させた。
当時のAUTOCARは、新しいモーガン登場の情報を発表前に入手。モーター・スポーツ誌も「新しいプラス4は見逃せません。エキサイティングなモデルになるでしょう」。と、強い期待を込めて報じた。
モーガン・プラス4は、68psを獲得し、ドライバーが勇気を振り絞れば128km/hまで出せた。ツアラーとクーペのボディが用意され、長めのフロント・スプリングが快適性を高めていた。
ゆっくり進化していったプラス4
大きなエンジンを載せるため、シャシーは長さ、幅ともに4/4から拡大。強化も図られた。ほぼ直立するようなラジエター・グリルと、後方へなだらかに伸びるフロントフェンダーは、戦前のデザインと大きくは違わない。
一方でプラス4の動的性能は、見違えて高かった。多くのライバルに勝つ能力を備えていた。通称インターリム・カウル・モデルと呼ばれる姿は、1953年にはモーガンの象徴的なデザインとなっていた。
初期の19台のフロントグリルは、湾曲せずにフラットで、フロントから奥まった位置にある。ヘッドライトは低く、フロントフェンダーも前方へ長く伸びていた。4シーター仕様も、初期に51台が作られている。
ヘッドライトの規制が変わり、モーガンのデザインも変更。1954年にウォーターフォール・グリルと呼ばれるものになり、フロントノーズは丸みのあるフォルムにアップデート。エンブレムは、グリルからボディ側へ移動している。
細かい変更ではある。しかし、ゆっくり進化していったプラス4にとっては、重要な違いとえるだろう。
同じ頃、スタンダード社製のエンジンにかわり、トライアンフTR2用の1991ccユニットが載るようになる。トランスミッションは、モス製が組み合わされた。
最高速度は、最もパワフルなプラス4で160km/h以上に到達。モータースポーツでの注目を集めた。その後さらに、TR3とTR4用のユニットが起用され、モーガンは競争力を高めていった。