【70年の伝統と進化】モーガン・プラス4 コンペティションと70thアニバーサリー 前編
公開 : 2020.11.28 07:20 更新 : 2020.12.08 08:18
わずか42台限りのコンペティション
モーガンをサーキットで戦わせた代表的なドライバーといえば、クリス・ローレンスだろう。彼の高いチューニング技術が認められ、ローレンス・チューン社は、モーガンからライセンス契約を結んでいる。
1961年、ローレンスが手を加えたプラス4は100台が作られ、スーパースポーツとしてモーガンから提供された。アルミニウム製のボディパネルは、より小さいモーガン4/4をベースに成形。72スポークのホイールを履いている。
エンジンはジャック・ブラバム・モーターズ社がバランス取りを行い、ハイカムとウェーバー・キャブレター、4分岐のマニフォールドが組まれた。このモーガン・スーパースポーツは、1962年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たしている。
2シーターのプラス4はその後、ローレンス製レーサーのような、低いボディへとスイッチ。さらにプラス4プラスも登場。通常のスタイリングに近い、グラスファイバー製のボディが与えられた。
今となっては、初期のプラス4は英国でも極めて珍しい。モーガンの専門ショップも、モーガン社自体も、公道を走れる状態のクルマを探すのに苦労するほど。
その理由は、当時のモーガン製モデルは、主に北米市場へ輸出されていたため。プラス4も例外ではなく、80%は北米へと渡った。
スーパースポーツ以外にも、プラス4コンペティションと呼ばれるモデルが42台作られている。ローレンスの手でチューニングを受け、低いボディラインをまとい、レーサーに迫る速さが与えられた。
現存11台のホットなプラス4
「プラス4コンペティションで残っているのは、11台だけです」。と話すのは、今回ご登場願ったマルーンの1966年式オーナー、イアン・パットン。英国にあるのは2台のみで、その1台だ。
「TR4A用の2.2Lエンジンを乗せた、少しホットなモーガンです。多くの人はどんなクルマか、わかっていません。コンペティションが、モーガン社によるものだということも。当時発売された、特別仕様なんです」
他方、最新で最後のモーガン・プラス4といえば、プラチナカラーの70thアニバーサリー・エディション。金色に塗られたスチール製のシャシーに、コレクター心をくすぐる多くの専用ディティールが与えられている。
ダッシュボードには、01/20という小さなプレートがあしらわれている。価値を高める大切な1枚だ。英国でのコロナウイルス流行によるロックダウン前に、4台が作られた。今では、20台すべてのオーナーが決定済みだという。
この70thアニバーサリーのラインオフで、モーガン・プラス4の生産ラインは完全に停止。新しいプラス・フォーが、あとを継ぐ。
モーガン・プラス4は、過去に何度か生産が止まっている。初めは1966年、42台のコンペティション仕様が作られた時。
2年後、1968年1月にスーパースポーツの生産が終了。4シーターは1968年11月までで、2シーターのツアラーは12月まで。1969年には4気筒のトライアンフTRが消えた都合で、クーペも生産を終えている。合計の生産台数は4533台だった。