【70年の伝統と進化】モーガン・プラス4 コンペティションと70thアニバーサリー 後編
公開 : 2020.11.28 16:50 更新 : 2020.12.08 08:18
50年代後半のスポーツカーらしさが好き
ドライビング体験は、モーガン・プラス4だけのもの。いい意味で。クルマと道路と、ドライバーだけの世界。助手席に誰かを乗せても、目的地まで気晴らしの会話も不要だ。
実際、助手席の人と普通に話ができるのは、徐行している時くらい。荷室も小さく、特に利便性が良いわけでもない。70thアニバーサリーのスペアタイヤ上のラックは、多くのドライバーが喜ぶ装備だろう。
コンペティションのオーナー、パットンは、初代オーナーのピーター・モーガンのように、ヒルクライムやスプリントレースを楽しんでいる。さらにプラス4以上に、ピッタリのモデルも所有している。
現代的なシグマ・エンジンを搭載したモーガン4/4を駆り、フランス全土を巡っているという。「工具箱を持ち運ぶ必要もありません。素晴らしいクルマですが、パワーはないですね。でも、カムに乗ると見違えます」
「プラス4コンペティションも、もちろん気に入っています。天気が良ければ、こちらを選びます。フードを付けたことはありません。トライアンフTRのように、50年代後半のスポーツカーらしい雰囲気が大好きなんです」
「良くチューニングされていますが、ルノー・クリオ(ルーテシア)の高性能版には負けます。速い走りは求めません。必要なら、ケーターハムを選んだ方が良いでしょうね」
パットンが話すとおり、スピードはモーガンの拠り所ではない。人影の少ない、空いた道を軽快に走るというドライビング体験が、やまない魅力だといえる。
モーガンの伝統を継承するという意味
静かなイングランド中部を横断するロードトリップを想像するなら、モーガンが自然と頭に浮かぶ。価値観を70年も守り続けてきたモーガンに、大きな賛辞を贈りたい。
今では、電動化技術も視野にあるモーガン。まったく新しいアルミニウム製のシャシーと、BMW由来の4気筒エンジンを搭載したプラス・フォーが登場した。70thアニバーサリーは、最後のオリジナル・モーガンとなった。
それでも、伝統はモーガンに息づいている。新しいが、とてもモーガンらしい。
モーガン・プラス4を手にするなら、10年ほど前のクルマが良いだろう。価格も比較的手頃で、信頼性も高い。それでいて、クラシックな雰囲気が味わえる。
もちろん、最後の70thアニバーサリーのオーナーになる魅力も捨てがたい。わずか数台の、プラス4コンペティションも同様だ。
そこには、モーガンの伝統を継承するという、重要な意味が加わってくる。コンペティションという知られざる歴史は、その重みをさらに高めている。
2台のモーガン・プラス4のスペック
モーガン・プラス4コンペティション(1965〜1969年)のスペック
価格:新車時 801ポンド/現在 5万ポンド(675万円)以下
生産台数:42台
全長:3556mm
全幅:1422mm
全高:1321mm
最高速度:161km/h
0-97km/h加速:10.0秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:838kg
パワートレイン:直列4気筒2138cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:105ps/4700rpm
最大トルク:18.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル
モーガン・プラス4 70thアニバーサリー(2020年)のスペック
価格:新車時 6万4995ポンド(877万円)
生産台数:20台
全長:4010mm
全幅:1720mm
全高:1220mm
最高速度:188km/h
0-97km/h加速:7.0秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1010kg
パワートレイン:直列4気筒1999cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:182ps/6000rpm
最大トルク:20.4kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル