【詳細データテスト】アルピナB3ツーリング 圧倒的なパフォーマンス パフォーマンスカーでは異例の快適性 アルピナの最高傑作

公開 : 2020.11.14 11:50

操舵/安定性 ★★★★★★★★★★

アルピナが新型B3で、従来のスイッチトロニックに替え適切なシフトパドルをはじめて用意したことは、じつに都合がいい。というのも、この新型は先代よりもマニュアル操作をしたくなるムードのあるクルマだからだ。

ステアリングは先代ほどキビキビしたものではないが、鼻先の向きはより歯切れよく変わり、コントロール性も上がった。ロールレートはすばらしくなだらかだ。

ルックスは控えめだが、悪天候下でさえ長距離をきわめて速く移動できるポテンシャルの持ち主だ。また、快適にリラックスしても乗れるが、夢中になるようなドライビングもできる。
ルックスは控えめだが、悪天候下でさえ長距離をきわめて速く移動できるポテンシャルの持ち主だ。また、快適にリラックスしても乗れるが、夢中になるようなドライビングもできる。    MAX EDLESTON

そのため、B3ツーリングが世代交代で100kgほど重量増加したことは、スペック表を見るまで気づかないかもしれない。ダンパーをスポーツモード以下にすると、ほかのいかなるエキサイティングなワゴンにもないくらい、公道上で直観的かつイージーに走らせられることがわかる。

こうなると、M3ツーリングに出番があるのか心配になってくる。このアルピナ以上の性能は必要なさそうだからだ。

もっとエンターテインメントが必要か、と問われら、それは不要だと答える。B3のステアリングはナチュラルなペースで手応えはほどよく、B級道路を流しても非常に満足できる。だが、飛ばすにつれてハンドリングはエキサイティングな面をみせるようになり、走らせ甲斐のあるクルマだということを知らしめてくれるのだ。

四輪駆動でありながら、アンダーステアが強いと思わされることは滅多にない。ノーズの動きは鋭く、スロットルでの姿勢制御も効き、いったんそうとわかれば驚くほど楽しめる。

湿った路面では、前後アクスルにパワーをかけていれば控えめにアングルが付くのみで、しつけのよさに欠けるところはない。これは正確さと落ち着きとのコンビネーションでドライバーを喜ばせるクルマで、プアなコンディションやトリッキーな道でも安全にスロットルを開けられる。

G20世代のB3は、後輪駆動のF80型、すなわち先代M3ほど無謀な走りはできない。あちらは狂気の沙汰のごとく永遠にスライドしていられそうなシロモノだったが、新型B3はそういう類ではないのだ。2点間を結ぶペースと、ファミリーユースに供されるであろうワゴンとしてのありかたを優先したという意味では、そこに間違いは一切ない。

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