【PHEV版の長所と短所】メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレークへ試乗

公開 : 2020.11.21 10:20  更新 : 2021.07.27 14:51

8速ATやブレーキで感じる違和感

ほかの面でも、トランスミッションのマナーは褒められない。燃費を重視した変速プログラムと、エンジンと電気モーターという複雑さで、動きにギクシャクする場面がある様子。

アクセルペダルの操作に過剰に反応し、一気に数段減速することもあるし、加速時の変速でもたつく時もある。シフトパドルでの減速時は反応が鈍く、マニュアルモードで大きく改善されるわけでもない。

メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレーク AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレーク AMGライン・プレミアム(英国仕様)

ブレーキにもひとこと。A 250eでも同様だったが、ハイブリッド・モードを選んでいると、回生ブレーキは、効きが自動的に調整されるオート・モードになる。ナビのマップデータと車載センサーを利用し、システムが自動的に回生ブレーキの強さを判断してくれる。

理論的には賢いシステムではある。しかし実際は、アクセルペダルを離したときの減速感が予想しにくい。回生ブレーキが効いて欲しい時に惰性走行したり、望まない時に減速したり、場面で異なるのだ。

ブレーキペダルを踏んだ感触も、摩擦ブレーキと回生ブレーキとを両立させるためか、一貫性がない。フィーリングも良いとはいえない。結果的に、スムーズに運転したいと思っても、扱いにくく感じてしまう。

反面、シャシーは落ち着きがあり、路面からの隔離感も高い。試乗車には19インチのホイールを履いていたが、低速域では乗り心地は柔らかく、高級感がある。振動が出るのは、路面が剥がれた場所くらい。

穏やかに走行している限り、気になるところは顔を見せない。ステアリングは感触に乏しいものの正確性に優れ、グリップ力も高い。

PHEVは人気を牽引できる要素になり得る

ただし、速度域が上がると印象が変わってくる。柔らかいサスペンションは、波打つような郊外の道で減衰力が足りないようにバウンド。小柄なサイズで車高も低い割に、ボディの動きも小さくない。アンダーステア傾向も強い。

積極的に運転しようとするほど、CLAシューティングブレークは緩く重く感じられてしまう。PHEVではないCLAと比較して、200kg以上も車重が増えていることが原因なのだろう。

メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレーク AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレーク AMGライン・プレミアム(英国仕様)

プレミアムコンパクトの動的性能の水準に、CLA 250eシューティングブレークが届いていないことは残念。PHEVというハンディを踏まえても。

これらが改善されれば、スタイリング重視のステーションワゴンとして、PHEVはCLAシューティングブレークの販売を牽引できる可能性が高い。実際、今回の試乗では高速道路を中心に、56km程度の距離を電気だけで走行できていた。

PHEVの中でも、CO2の排出量は低い部類に入る。最大7.4kWの容量で充電が可能で、こちらも優秀な方だ。

インテリアは華やかだし、ハイテク感にも溢れている。リアシートの広さも、滑らかなルーフラインを考えれば充分。PHEV化に伴い、通常のシューティングブレークより荷室は60L狭いけれど。

CLA 250eシューティングブレークは、動的品質を犠牲に、燃費効率を追求したという感覚が拭えない。一貫性に欠け、重たいという印象が残ってしまった。

燃費を重視し、市街地や高速道路中心のカーライフを送るなら、メリットはある。しかし、この価格帯のモデルなら、さらなる磨き込みを期待したいというのが本心だ。

メルセデス・ベンツCLA 250eシューティングブレーク AMGライン・プレミアム(英国仕様)のスペック

価格:3万9045ポンド(527万円)
全長:4688mm
全幅:1830mm
全高:1442mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:6.6秒
燃費:83.3km/L
航続距離:67-69km
CO2排出量:26g/km
乾燥重量:1700kg
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:218ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

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