【なぜアメリカで発表?】新型スバルBRZ 日本製スポーツカー、独り勝ち戦略は奏功する? 2.4Lへの拡大の意味
公開 : 2020.11.19 05:50
三菱エクリプス アメリカの思い出
では、BRZ(および86)のライバルは何か? 新旧モデルの中からピックアップしてみたい。
まずは旧車からだ。
BRZ(および86)対抗と呼べるようなモデルは、いくつか存在したが、それらはBRZ(および86)誕生前に市場から姿を消している。
順を追ってご紹介しよう。
三菱エクリプス
80年代から90年代にかけて、「セクレタリーカー」と呼ばれ大人気車となった。
セクレタリーを直訳すれば、秘書である。つまり、秘書を務めるような知的でファッショナブルな女性が好むクルマという商品イメージである。
アメリカでのクーペ市場は、女性ユーザーの比率が高いのが特長だ。特に、コンバーチブルは女性から支持されている。
FF車であることもあり、走りを追求というより日常生活の中での利便性を優先した。
その中で1999年登場の3代目は、先進性と未来感を集約されたデザイン。担当した三菱北米デザインスタジオのデザイナー氏と当時、よく意見交換したが、彼がアメリカでのクーペ市場動向について広い見識があった。3代目に対するデザインへの拘りとしては、前後のタイヤフェンダー部分を「ボールベアリングをスパッとカットした、そんなイメージだ」と表現していた。
当時、エクリプスには「3000GT(GTO)」という兄貴分がいたことで、BRZ(86)とスープラの関係性に近いと言える。
BRZ 米にガチンコライバル不在?
GMポンティアック「ソルスティス」、サターン「スカイ」
2000年代の半ば、リーマンショックでGMが事実上の倒産となる少し前、2シーターオープンカーとして登場した。
GMとしては、マツダMX-5(ロードスター)よりもひと回り大きく、在りし日のエクリプスのイメージであったはずだ。
2.4Lと2.0ターボがあり、それぞれを当時、カリフォルニアのロサンゼルス周辺やミシガンのデトロイト周辺、さらにテキサスのダラス周辺で試乗した。
感想としては、見かけとは裏腹に「かなりの大味」。欧州ではオペルGTとして販売された。
以上、2モデルが過去20年間ほどで、BRZ(および86)対抗になりそうなイメージだ。
では、現行車ではどうか?
多少重なる? しかし実質的にゼロ
各メーカーのラインアップを見渡して、ガチンコライバルはいない。
まあ、MX-5 ロードスターがRFのみならず、通常モデルが2.0L搭載であることで、FRということでBRZ(および86)に技術的に近い。
だが、顧客層は明らかに違う。
顧客層が多少重なるという点では、ヒュンダイ・ヴェロスターがある。
変則的な3ドアクーペスタイルのFF、また1.4Lターボ、1.6Lターボであり、技術面ではライバルと呼べない。
いずれにせよ、BRZ(および86)は現世代において、実質的なライバルがいない、独自の世界感を持っているといえる。