【新時代への挑戦状】日本撤退のホンダ・シビック・セダン アメリカで売れるか? 50年の歩みを回顧
公開 : 2020.11.19 06:50
C/Dセグメントのベンチマークに
80年代から90年代、4代目(EF)や5代目(EG)はアメリカで「一家に1台」というイメージにまで普及が進んだ。
「日本車は壊れない」という、アメ車に対する反語的な商品イメージの代表選手のような存在だった。
アメリカでシビックは、小型車(Cセグメント)、中型車(Dセグメント)を融合させたC/Dセグメントに属する。
シビック、さらにシビックよりひと回り大きなアコード、これら2台がC/Dセグメントのベンチマークとなった。
そんなシビックに世紀末、大きな異変が起こる。
映画「ワイルドスピード(原題:ザファーストアンドザフューリアス)」で描かれた日系チューニングカーの爆発的ブームだ。
その中で、シビックは80〜90年代に「安心安全」を好んで購入した世代から、10代後半から20代の子ども世代にクルマを払い下げた。
そうした元手ゼロで手に入れたシビックを、彼らはドレスアップやストリートドラッグレース仕様に改造したのだ。
このトレンドを、アメリカンホンダは「ホンダブランドの維持」を理由に積極的に受けようとはせず。一方で、トヨタは今はなきサイオンブランドの一部に取り入れた。
ホンダにとってシビックは「聖域」なのだ。
当時のブームの変遷をアメリカで実体験しながら、そう思った。
迷いつつシビックの未来の可能性探る
2010年代に入ると、アメリカ市場におけるシビックの立ち位置が徐々に変わり始める。
象徴的な出来事は、2011年登場の9代目(FB)だが、スタイリングやパッケージングに対して市場から厳しい声が出たため、急遽2年目の2013年にビックマイナーチェンジをおこなうに至る。
さらに2010年代中盤になると、北米市場全体でのSUVシフトがC/Dセグメントでも鮮明化するようになり、アメリカ人にとって「シビックが定番」という旧来型の感覚がどんどん薄れていった。
一方、日本ではミニバンと軽自動車シフトが進み、セダン離れやクーペ離れの中、シビックは日本から撤退。
その後、2017年に復活するも、セダンは2020年8月に国内向けは生産中止となった。
日本では貴重なセグメントとなった、5ドアハッチバック、そしてハイスペックなタイプRという個性が、シビックの特長となっている。
そうした中、日本では未導入の11代目セダンがアメリカでプロトタイプとして登場。
過去の実績を見ると、プロト発表翌年の量産化が定石にて、2021年夏(米2022年モデル)として登場するだろう。
コロナ禍という、ニューノーマルでの登場ということだけではなく、11代目は明らかにニューシビック時代への挑戦状に見える。
eスポーツチャンネルでのデビューを拝聴しながら、そう感じた。