インフィニティFX50Sプレミアム
公開 : 2012.05.10 11:58 更新 : 2017.05.29 18:28
■どんなクルマ?
最新のインフィニティFXは、無論BMW X6のライバルである。また、スポーツ・クーペであると主張したSUVでもある。
この第2世代のFXは、英国で最も売れているインフィニティであるが、それは100の単位の話で1,000の単位ではなく、このフェイスリフトも微妙なタイミングで行われたものだ。
■どんな感じ?
フェイスリフト前とあまり変わった感じは受けない。というのも、3人に1人がそのルックスからこのクルマを選んだという顧客の意見を尊重して、インフィニティはスタイルの変更を最小限に抑えたのだ。従って、新しいフロント・グリルになった程度がその変更点だ。また、新しいデザインのアロイ・ホイールを与え、新しいボディ・カラーが選択できるようになり、そしてインストルメント・パネルの微妙な調整が行われている。
グレードは、GT、GTプレミアム、S、Sプレミアムの4つが用意されている。
エンジンは235bhpの3.0リッターV6ディーゼルと3.7リッターのガソリン・エンジンは前モデル同様に用意される他、プレミアム・トリムを選んだ場合にのみ385bhpを発揮する5.0リッターV8ガソリン・エンジンを選択することも可能となっている。もちろん、われわれの関心もその5.0リッターV8ガソリン・エンジンにある。
このV8エンジンはパドルシフトを備えた7速オートマチック・ギアボックスが組み合わせられ、爆発的なパフォーマンスを示すこととなる。2トン以上の重さがあるにもかかわらず、0-100km/h加速は5.8秒という数値をマークするのだ。
ギアシフトのパフォーマンスも素晴らしい。そのシチュエーションの合わせてギアを選択することは楽しいアクションだが、オート・モードで走るほうがベストの場合が多いのだ。
よりスポーティな味付けがされたSとSプレミアムは、21インチ・ホイールとアクティブ・ダンパー、リア・ホイール・ステア、スポーツシートが奢られ、快適性重視のGTおよびGTプレミアムとは異なるセッティングがされている。だたし、21インチ・ホイールへのアップグレードはあまりほめられたものではなかった。
FX50Sプレミアムのハンドリングは高い能力を持っている。特に、アクティブ・ダンパーのお陰で高速でのボディ・コントロールは秀逸だ。しかし、21インチ・ホイールのせいで乗り心地とロード・ノイズは、20インチ・ホイールのGTプレミアムよりも悪くなっている。とはいうもののGTプレミアムはアクティブ・ダンパーとリア・ホイール・ステアがないせいで、ボディ・コントールとステアリング・レスポンスという点ではSプレミアムに劣ることとなる。
■「買い」か?
おそらく最高のFXは、インフィニティが用意していないモデルだ。つまり20インチ・ホイールのFX50Sプレミアムがそれだ。
更に、V8のパフォーマンスがドライバーに笑顔をもたらすのも、ガソリン・スタンドで燃料を補給するまでのこととなる。その7.7km/lという燃費があまりにも悪すぎるからだ。英国で人気なのはSプレミアムの3.0リッター・ディーゼル・モデルなのだ。確かに、そのパフォーマンスはV8ガソリンよりも高くはないが、11.1km/hという燃費は魅力的だ。
論理的にも、レンジローバー・スポーツやBMW X6、ポルシェ・カイエンを抑えてインフィニティFXを勧める理由があまりない。どちらかと言えばニッチなクルマの1台ということができよう。気に入るのであれば、そのプアな乗り心地も窮屈なリア・キャビンも、小さいトランク・スペースも気にならないだろう。
3人に1人がそのルックスに惚れて購入しているというが、そのドライビング・フィールを理由に購入する人はおそらく10人に1人以下ではないのだろうか。
(マーク・ティショー)
インフィニティFX50Sプレミアム
価格 | 58,280ポンド(750万円) |
最高速度 | 250km/h(リミッター) |
0-100km/h加速 | 5.8秒 |
燃費 | 7.7km/l |
Co2排出量 | 307g/km |
乾燥重量 | 2120kg |
エンジン | V型8気筒5026cc |
最高出力 | 385bhp/6500rpm |
最大トルク | 51.0kg-m/4400rpm |
ギアボックス | 7速オートマティック |