【アルヴィス誕生100周年】オーナーズ・ミーティングに集うアルヴィス 12/50からTA21まで 後編

公開 : 2020.12.06 18:25  更新 : 2020.12.08 00:18

全盛期には、ジャガーを超えるコベントリー・ブランドだった、アルヴィス。すでに自動車製造は終えていますが、創立100周年目を祝うべく、オーナーズ・ミーティングが開催されました。出展車両の中から、8台をご紹介しましょう。

アルヴィスTC21/100(1954年)

text:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
オーナー:フィリップ・オーウェン

フィリップ・オーウェンが愛する1954年製アルヴィスTC21/100との馴れ初めは、かなり古い。コベントリーのアルヴィス工場を出荷して、20年後に出会ったという。「このアルヴィスは、50年前にエセックス州の紳士が購入したようです」

アルヴィスTC21/100(1954年)
アルヴィスTC21/100(1954年)

「その男性に、1000ポンドを支払って購入しました。彼は門の前で、さよならをいいながら泣いていたのが忘れられません」

「当時、サンフランシスコに住んでいて、アメリカへ運びたいと友人に相談。彼はアメリカ海軍の中将の息子だったんです。クルマはカバーがかけられ、アメリカ初の原子力空母の甲板の上に。ポーツマスからスエズ運河を経由して、アラメダ海軍航空基地まで運ばれました」

そこからTC21/100はカリフォルニア州のミルバレーにある、オーウェンの家へ運ばれた。俳優のクリント・イーストウッドや、IBMで業績を残した技術者のジーン・アムダールなどを助手席に乗せたこともあるという。

「ウォールナットクリークの街で、トニー・カラブレーゼという腕利きのメカニック兼ボディ職人と出会いました。ボディワークも見事にこなし、エンジンを降ろし、ステアリングやブレーキ、アライメントの調整もしてくれました」

「カラブレーゼは地元のコンクール・イベントにアルヴィスを出品してくれ、多くの賞も得ています。その後、1979年に英国へ戻ってきました」

TC21/100は、さらにオーナーのオーウェンとともに、フランスやドイツ、スイスなどへ移り住み、欧州全土を走ってきた。今は農家の中で、5台のアルヴィスとともに過ごしているという。

「すべて、私の大切なクルマです。良い相棒。スピード25というモデルとTC21/100は、定期的に車検取得のためにロンドンに戻しています。アルプス山脈の山道でも、深い雪道でも、問題なく走ってくれます」

アルヴィスTF21(1963年)

オーナー:フィリップ・オルデン

イベントの主催者、フィリップ・オルデンとアルヴィスとのつながりは、2005年の偶然からだった。「わたしの最初のアルヴィスです。グッドウッド・リバイバルでの出会いまで、ブランドのことすらよく知りませんでした」。と告白するオルデン。

アルヴィスTF21(1963年)
アルヴィスTF21(1963年)

「地元の会社がクラシックカーのレンタルをしていて、アルヴィスだけ残っていたんです。フル4シーターで、素晴らしいクルマでした。家族全員を乗せて、グッドウッド・リバイバルに向かいました」

初めてのアルヴィスに恋をし、オーナーズクラブへ加入。可能な限り最良のモデルを探したという。「このTF21は、15年間所有しています。1963年式で、卸売市場の売買人が新車で購入したようです」

「数年乗り調子を崩すと、1960年後半にジョン・クーパーが引き取ります。ミニで有名な、あの人です。それから1980年代まで、複数のオーナーがいたようですが、表に出ることはありませんでした」

「運転がとても楽しい。ボルグワーナー製の3速ATで、見事に高速巡航できます。現代の交通の流れに合わせられますし、四輪ともにディスクブレーキなので安心。見た目も落ち着きがあり、上品で優雅ですよね」

「多くの人が、給油の際にどんなクルマなのか聞いてきます。大体の場合、説明しても知りません。アストン マーティンベントレーに勘違いされることも。TF21が作られたのは53台のみ。多くのクルマが、今も公道を走れる状態にあります」

TF21は頼れるクラシックカーとして、オーナーズクラブの国際的なイベントに何度も参加している。「夏場に、田舎のパブへ繰り出すのにも問題なし。機会があれば、近所でも乗るようにしています。走っていた方が調子は保てますから」

「最近トランスミッションを新しくし、走りが見違えました。ToDoリストにはあったのですが、手つかずでした。ロックダウン中に思ったんです。どこにも行けず、お金も使っていないので、数年越しの課題を実行する機会だと」

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