【2020年で一番の自動車メーカー】トヨタ ファントゥドライブ・アゲインを体現 英国編集部選出

公開 : 2021.01.01 05:45

新型へ生まれ変わったヤリスに、久しぶりの復活を果たしたスープラ。普段の足のコンパクトカーから流行のクロスオーバー、走り好きに応えるスポーツカーまで、話題の多かったトヨタ。2020年のベスト・カーメーカーに選ばれました。

エモーショナルなトヨタ

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
多国籍企業といえるような巨大な自動車メーカーが革新を目指す、と主張しても、実際に変化を実感するのが数年先ということは珍しくない。ここに来て、トヨタの変化は目に見えて明らかだ。

信頼性に優れた白物家電的なクルマ作りを超え、エキサイティングなモデルや、環境意識の強いモデルを次々にリリースしている。次の世界を目指すように。

トヨタの社長兼CEO、CBOを務める豊田章男
トヨタの社長兼CEO、CBOを務める豊田章男

これを主導する人物こそ、トヨタの社長兼CEO、CBOを務める豊田章男。トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎の孫に当たる人物で、2009年からトヨタの代表を努めている。自らレースに出場するほどの、クルマ好きでもある。

退屈なモデルがトヨタに溢れていた時も、アメリカで「意図しない加速」疑惑で大規模リコールが行われた時も、トヨタを牽引し続けてきた人物。見事、トヨタの危機を乗り越えさせた。

そして、欲しいと強く思わせるエモーショナルなクルマ作りで、新風を吹きこもうとしている。ここ10年でのトヨタの目覚ましい進展は、世界最大の自動車メーカーとしてだけでなく、最高の自動車メーカーとまで評価を高めつつある。

エモーショナルなトヨタの口火を切ったのは、GT86だろう。多くの企業がスポーツクーペから手を引こうという流れの強かった、2012年に発売された。

GT86は、素晴らしいドライビングカーを生み出す力を、再びトヨタに醸成することも目指していた。東京モーターショーでの発表時のスローガンは、「ファントゥドライブ・アゲイン」。今日でも、真実であり続けている。

モータースポーツと環境問題への取り組み

GT86の発表以降、この精神はすべてのトヨタ製モデルへ落とし込まれている。新型のヤリスやカローラも、毎日の足として使えるモデルながら、クルマ好きへの訴求力を忘れていない。新型プリウスでもそうだ。これこそ、2020年の受賞へとつながった理由。

GRスープラやGRヤリスといったモデルは、ル・マンや世界ラリー選手権など、モータースポーツでの活躍を色濃く反映している。有言実行するかのように、新モデルを生み出している。

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)

ヤリスやカローラは、ハイブリッドという別の輝きも備えている。古くからハイブリッド開発を主導し、新しい自動車市場を牽引し、運転しやすいクルマとして成長させてきた。

トヨタは、次は水素だという。将来のエネルギー源として重要な役割を果たすと、トヨタは信じている。われわれは耳を傾けるべきだ。

実績や規模の大きさだけではない。環境問題への積極的な取り組みという、トヨタの企業としての誠実さも、高く評価するに値する。

審査員コメント

Matt Prior(マット・プライヤー)

企業としての信念や市場シェア、収益性、環境問題への取り組みなどは、わかりやすい評価軸になる。でも、哲学的なビジョンを主張するだけでは、賛同は得にくい。

トヨタの場合、新しいモデルを見れば、すべてを理解できる。ファミリーカーもスポーツカーも、高性能なオフローダーも幅広く手掛けるトヨタ。どれもが興味深く、楽しく、性能に優れる。よく考えられ、環境にも配慮されている。

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