【詳細データテスト】ボルボV90 T6リチャージ AWD Rデザイン スポーティなルックス 洗練の走り 極上の快適さ
公開 : 2020.11.21 11:50 更新 : 2020.12.05 00:42
走り ★★★★★★★★☆☆
V90のサイズとプレミアムなポジションを考えると、エンジンラインナップに6気筒が存在しないことを嘆く声には容易に同意できる。だが、BMWの30dや40iに対抗しうるエンジンを積んだ大型ボルボを夢想するのと同じくらい興味をそそる事実がある。
それは、このV90の4気筒が、ガソリンハイブリッドであるにもかかわらず、おおらかに走るパフォーマンスを魅力的なレベルに到達させるのに貢献しているということだ。
たしかに速さは、現実的に必要とされるくらいある。たとえ、リッチなサウンドや、負荷がかかった際のなめらかさが、より大きなエンジンほどではないにしても。
デフォルトのハイブリッドモードでスロットルペダルを踏み込むと、電気モーターのそれほど多くないトルクで強力に走り出し、それからエンジンが介入して本格的に加速する。モーターの後押しが弱まるにつれて、加速はおだやかになっていく。また、8速ATはキックダウンするまでに間がある。
それでも、そうした遅れの具合はほかのPHEVより小さく、ドライバビリティ全体に悪影響を与えるようなものではない。
0-97km/hが5.6秒というのは悪くないし、公称タイムに一致するものでもある。48-113km/hが4.9秒というのもなかなか優秀。このクルマに比べるとかなり軽いBMW330dツーリングが5.2秒を要することを考えれば、みごとな数字だといってもいいだろう。
ただし、ボルボのガソリンハイブリッドは、BMWの6気筒ディーゼルと同じくらい力強いとはいっても、こと固定ギアでの加速力となると、トルクが豊かなライバルに太刀打ちできるものではない。4速固定での48-113km/hにかかる時間は、V90が8.4秒なのに対し、330dは5.8秒だ。
あからさまにスポーティな走りを追求するのはボルボのスタイルではないが、V90をよりゆったりリラックスして走らせると、ずっと簡単にしっくりとくる。とくにスーパーチャージャーがなくなったことで、この2.0LユニットのサウンドはT8ツインエンジンよりスムースで、狂気的なところもやや影を潜めた。また、電気モーターと内燃エンジンとの切り替えは、驚くほど円滑に行われる。
モードをEV走行のピュアに切り替えると、市街地を走り回るのがひときわ楽しいものになる。後続車を引き離すのに十分なくらい、クルマを押し出してくれるのだ。ただし、加速し続けるような走りかたをしていると、エンジンが息を吹き返すことになる。