【滅びる運命?】マニュアル・トランスミッション 減少傾向強まる メリット、生き残る道は
公開 : 2020.11.25 11:20
生き残る道はあるか
一方の高級車ブランドは、いち早くMTから脱却した。今年9月末までに英国で販売されたボルボ車のうち、MT車の割合はわずか10%に過ぎなかった。ボルボは今年初めにV60からMTを廃止したため、現在はXC40のT2とT3のみに設定されている。
メルセデスはどのメーカーよりもMTの販売台数が少なかった。国際クリーン輸送協議会(ICCT)のデータによると、2018年のAT車のシェアは欧州全体でなんと82%に上るという。
高級車の売上が好調な国では、すでにATが主流になっている。例えばルクセンブルクでは、2018年に販売されたクルマの90%がATだったが、スイスでは74%、スウェーデンでは73%だった(ICCT)。
MTは生産コストが低いため、安価なモデルでは長く生き残れるだろう。ジェイトーによると、英国では2020年1~9月に最も売れたMT車はフォード・フィエスタで、これにヴォグゾール・コルサが続いた。
欧州全体では、2018年のATの割合はダチアでわずか3%、フィアットは6%、オペルとヴォグゾールは14%だった。
MTはスポーツカーのドライバーが選ぶものと思われがちだが、その価値観も変わりつつある。新型BMW M4クーペのMTは英国では選べないが、米国では導入される予定だ。JDパワーによると、米国ではMTの割合が昨年の販売台数のわずか1.1%にとどまっている。
例外的なのはアウディだ。電動化への切り替えが早く、MTを設定しているのはわずか5台(最も大きいモデルでQ3)だが、2020年の英国での販売台数の75%はMTだった。
MTの需要は減りつつあるが、新技術の採用や市場の価値観の多様化によって、生き残る道はまだまだ残されていると言えるだろう。