【超辛口】走りを突きつめた! ランボルギーニ初のロードゴーイング・レーサー「ウラカンSTO」

公開 : 2020.11.21 14:22  更新 : 2021.10.11 09:37

エアロダイナミクス 徹底的に追及

リアフェンダーもスーパー・トロフェオ・エボのデザインを受け継ぎ、上面のNACAダクトはエンジンのインテークに導かれる。

ルーフにはエンジン・コンパートメントを冷却するエアスクープが備わる。

メディア向けの実車公開は、世界に先駆けて日本で行われた。
メディア向けの実車公開は、世界に先駆けて日本で行われた。

エンジンカウルには、F1マシン、LMPマシン、スーパー・トロフェオ・エボにも採用されているシャークフィンが採用された。コーナリング時にヨー安定性を高めることができる。

リアウイングはSTO専用タイプで、シングルスロットで2枚の翼面で構成される。

前部/後部の翼面の間隔を変えることにより強いダウンフォースが得られるもので、セッティングにより空力バランスを最大13%も変えることが可能。

ドライビングスタイルに適応させたダウンフォースが得られる。

これらの空力性能を突きつめた結果、280km/h時に420kgのダウンフォースを発生させ、ウラカン・ペルフォルマンテに比べると53%増大したことになる

また、ドラッグの最適化により全体的な空力効率は37%も向上した。

軽量化 1339kgで640psのパワー

注目したいのは、航空宇宙業界で活用されるカーボンファイバーのサンドイッチ構造をリアフェンダーに採用したこと。これにより、剛性を確保したうえでカーボンファイバーの使用量を25%削減。

このほかウインド・スクリーンはウラカン・ペルフォルマンテに比べ20%軽量なものが使用され、マグネシウム製ホイールの採用により乾燥重量は1339kgまで削減。

フロント部分はボンネット、フェンダー、バンパーが一体式となるカウル。ミウラのように前ヒンジで開く。
フロント部分はボンネット、フェンダー、バンパーが一体式となるカウル。ミウラのように前ヒンジで開く。

軽量モデルとしておなじみのウラカン・ペルフォルマンテから、さらに43kgも削られている。

ミドに搭載されるV型10気筒5204ccユニットは、ウラカンEVO譲りの640psを発揮するタイプだ。

ここに7速LDFデュアルクラッチ・トランスミッションが組合せられる。

さらに、ワイド化されたトレッドと、サスアーム・ブッシュの硬度を高め、専用アンチロールバーを組み込むことにより、レーシングカーのエモーションを体感できる走りを実現。

ブレーキはレースからフィードバックされたブレンボ製のCCM-Rを採用する。従来のCCBに較べ4倍の熱伝導率を備え、ストレス耐性は60%高くなり、最大制動力は25%、減速性能は7%向上している。

タイヤは、これまでピレリが主に使われていたが、専用開発されたブリヂストンのポテンザ・スポーツを採用。公道用とサーキット用の2種が用意されるという。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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