【やっとわかった進化の中身】マツダ3の走り、一気に向上 eスカイアクティブX搭載 明らかになった真相
公開 : 2020.11.28 05:50
エンジンだけではない 前部の軽さも
あれから約3年、美祢で体験したプロトタイプに乗ってみると「(初期量産モデルと比べて)これほど違うのか!?」と唸ってしまうほど”まったく別物”になっていた。
マツダ3の主査である谷本智弘氏は、試乗に際して2つのポイントを提示した。
1つは「自在感」。ドライバーの思い通りに、クルマと意思が通じ合える、信頼感がある「相棒」のような存在を指す。
もう1つが「瞬発力」。アクセルに対するeスカイアクティブXの反応が、より敏感になった。
ゆっくり踏むと、描きたい走行ラインをきれいにトレース。強めに踏むと、狙った方向にスパッと行く。
技術的な改良点としては気筒内の燃焼制御を緻密化し、またモーターとスーパーチャージャーの連携を強化、さらにトランスミッションの制御も見直した。
数値的には、最高出力が180psから190psへ、最大トルクは22.8kg-mから24.5kg-mへのアップに留まるが、トルク特性は大きく変わり低回転域から中回転域で「自在感」と「瞬発力」を実感する。クルマ全体の動きのキレが良いのだ。
もう少し踏み込んで言えば、車体の前側が重く感じるフロントヘビーさが消えている。
これは、パワートレインだけではなくサスペンションの改良も加味されていることは明らかなのだが、この点についてプロトタイプ試乗会で技術詳細は開示されなかった。
日本もスカイアクティブXの存在感増
今回の正式発表の中で、ダイナミクス(運動性能)の改良について、フロントスプリングとフロントバンプストッパーの変更、それに伴い前後ダンパー(ショックアブソーバー)の減衰力も変更したことが明らかになった。
この改良と、パワートレインの改良との「バランス感」が絶妙なのだ。
つまり、マツダが現在検討している、初期スカイアクティブXユーザーに対するソフトウェアのアップグレード「スピリット#1.1」だけでは、商品改良された今回のクルマと同じ動きにはならない。
ユーザーはこの点を十分に理解する必要があると思う。
現行マツダ3は2019年5月の開始から直近の2020年9月まで、日本での販売全数に占めるエンジン構成は、スカイアクティブGが69%と圧倒的に多い。次いでスカイアクティブDが25%、スカイアクティブXは6%となる。
ただし、スカイアクティブXが登場した2019年12月以降でみると、スカイアクティブGの比率はそのままで、スカイアクティブXが13%まで伸びている。
ちなみに、欧州でのマツダ3は、税制優遇や購入補助制度などの影響で、スカイアクティブXの販売比率が高い。
日本でもカーボンニュートラル実現に向けた新たなる施策の中で、eスカイアクティブXのさらなる拡販が期待できそうだ。