【韓国製バッテリーが原因?】欧州CO2排出量規制 多額の罰金に直面したメーカー
公開 : 2020.12.01 18:25
欧州における厳しいCO2排出量規制は、自動車メーカーに大きな負担をかけています。基準をクリアできず、多額の罰金を科せられるメーカーにはどんな問題があるのか。また、罰金を回避する解決策について考えます。
規制クリアにつまずいたメーカー
今年、欧州連合(EU)と英国で販売される自動車のCO2排出量を大幅に削減する必要性が強まったことで、BMW、フォード、ジャガー・ランドローバーなどのメーカーは多額の罰金を支払うリスクに直面した。
EUが求めるメーカー平均CO2排出量は95g/km(ブランドごとに若干の違いはある)と厳しい。2019年の平均値は122g/kmで、ディーゼルからガソリンへと買い替える消費者が多かったため、過去3年間で上昇していた。
規制に対応するため、多くのメーカーがプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)やEVを相次いで導入している。開発には莫大なコストがかかるはずだが、50g/km以下のモデルはスーパークレジット制度により平均CO2排出量の削減に大きく貢献する。
フォードは、規制をクリアするために投入した33g/kmのクーガPHEVに期待を寄せていた。しかし、バッテリーが火災を引き起こす危険性があるとして2万1000台のリコールに見舞われてしまう。
多額の罰金を避けるため、フォードはPHEVの導入に成功していたボルボに支払いを行い(金額は非公表)、両ブランドの平均CO2排出量をプールした。
リコール対応やボルボとの提携により、フォードは欧州における第3四半期の利益をすべて失う推定6億ドル(624億円)のコストを支払った。
「クーガPHEVのリコールが発生するまでは、今年のCO2排出量目標は達成できていました」とCEOのジム・ファーリーは今月初めに会見で語った。
一方、BMWも同様の問題を抱えており、主に欧州で2万6900台のPHEVをリコールしなければならなかった。これまでのところ、BMWは目標を達成し、罰金を回避できると自信を見せている。
ジャガー・ランドローバー(JLR)は、主力のレンジローバー・イヴォークとランドローバー・ディスカバリー・スポーツのPHEVの発売が延期(電気のみの航続距離の不足が原因)したことで、9000万ポンド(125億円)の罰金を支払った。
影響を受けた3社のPHEVに共通しているのは、サムスンから供給されたバッテリーだ。サムスンは一連の問題(リコールや航続距離不足)についてコメントしておらず、メーカーも責任の所在を明らかにしていない。