【標準サスで充分幸せ】ポールスター2へ試乗 乗りやすい柔らかさ 407psは変わらず
公開 : 2020.12.07 10:25
日常的に乗るなら標準サスの方が良い
軽量な20インチ鍛造ホイールとオーリンズ製ダンパーを失ったことで、ステアリング・フィールに若干の変化がある。しかし、どちらも手のひらに伝わる感覚は少なく、言及するほどの差ではない。ステアリングの反応は正確で、レシオの設定もイイ。
パフォーマンス・パッケージの付かない2で、一番わかりやすい走りの違いは乗り心地。日常の足として乗るなら、恐らく90%のユーザーにとっては、標準サスペンションの方が好適な選択肢になるだろう。
オーリンズ製のダンパーは、特に高速域で2048kgもある巨体を見事に制御してくれる。魔法をかけて、300kgくらい軽くしてくれるように。
しかしポールスター2は、その手の走りを楽しむタイプではない。オーリンズ・ダンパーは、本気で攻め立てた走りをしない限り、見事な衝撃吸収性と姿勢制御を引き出せない。しっかり機能させるには、高次元の負荷が必要なのだ。
パフォーマンス・パッケージは、ポールスター2の驚くほど速く、機敏な走りを引き立てることはできる。そのかわり、日常的な乗りやすさは犠牲になってしまう。
リアタイヤの下側に潜り込んで、ダンパーを最もソフトな設定に変えても、垂直方向の動きはだいぶ硬い。路面が極めて滑らかでない限り、目的地までの乗り心地が穏やかになることはない。
パフォーマンス・パッケージに悩む
ちなみに、標準のサスペンションはテネコ社製で、親会社はオーリンズ。ボディロールは大きくなるが、驚くほどでもない。ポールスター2の車重を支えるには充分な減衰力があり、英国の道に適した柔らかさがある。それでいて、スポーティさも残っている。
ポールスター2に惹かれているなら、パフォーマンス・パッケージを選択するかどうかは、じっくり考えた方が良い。低く構えたスタンスを得たいなら、パッケージは必要。穏やかな乗り心地で長距離を走りたいのなら、テネコ製のダンパーの方がありがたいはず。
パフォーマンス・パッケージは素晴らしい。だが動的性能のバランスが、わずかに崩れているように思う。最もソフトな設定にしても、硬いという基本的な特性は変わらない。
ポールスター2のスペック表には魅力的な数字が並んでいるが、スポーツカーではない。鍛造ホイールと金色のキャリパー、低い車高という見た目が車重2tのEVにどこまで必要なのか、自問することをお勧めする。
ポールスター2(英国仕様)のスペック
価格:4万6900ポンド(633万円/英国政府補助金適用後)
全長:4607mm
全幅:1800mm
全高:1478mm
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:4.7秒
航続距離:469km
CO2排出量:−
車両重量:2048kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:78kWhリチウムイオン
最高出力:407ps
最大トルク:67.2kg-m
ギアボックス: