【株価も急落】米ニコラ、GMとの提携縮小 新型バジャー開発中止 水素燃料技術は提供
公開 : 2020.12.02 05:05 更新 : 2022.11.01 08:42
米国の新興トラックメーカー、ニコラ・モーターズはGMとの業務提携を見直し、ピックアップトラックのバジャーの開発も中止します。「将来のテスラ」として注目を集めたニコラは今、大きな壁に直面しています。
バッテリーと水素で走るバジャー、開発中止
ゼロ・エミッションのトラックメーカーである米ニコラ・モーターズは、ゼネラル・モーターズ(GM)との提携見直しにより、ピックアップトラック「バジャー(Badger)」の開発を中止した。
アリゾナ州を拠点とする同社は、EVや水素燃料電池の商用車、オフロード車などを計画してきた。今年初めに米国ナスダックに上場した際、テスラの将来のライバルとして比較され、注目が集まった。
株価は大幅に上昇したものの、一部の投資家などから詐欺疑惑をかけられ、9月には創業者のトレバー・ミルトンが辞任している。
ニコラは6月に電気と燃料電池のパワートレインを搭載した新型ピックアップトラック、バジャーの受注を開始。当初は12月に正式発表される予定だった。ピーク時の最高出力は906ps、最大トルク135.5kg-mを発生するとされていた。
9月、ニコラはGMと提携。GMのアルティウムバッテリーや燃料電池技術と引き換えに、11%の株式(約2000億円相当)を提供した。バジャーの製造はGMが行う予定だった。
しかし、今回この2社は、業務提携の規模を縮小した新契約に署名した。新契約では、GMの水素技術をニコラの商用車のみに使用すること、そしてバッテリーの使用について「協議」するとしている。
GMはニコラへの出資を取りやめる。バジャーの製造についても契約に含まれていない。
ニコラは声明で次のように述べている。
「以前に発表したように、ニコラのバジャー開発計画はOEMとの提携に依存していました。当社は、これまでに受領したバジャーの予約金をすべて返金します」
また、同社は2021年末までに水素燃料電池トラックのテストを開始する予定であるという。
ニコラ株は11月30日の米株式市場で前週末比で一時25%安となった。