【毎日の道を心地良く】ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDKへ試乗 4.0L NA 400ps
公開 : 2020.12.05 10:25 更新 : 2024.02.15 08:11
走り慣れない道でもPDKなら克服しやすい
フラット6のたくましい咆哮とシンクロするように、息を呑むほどのパフォーマンスが放たれる。複数のギアをまたぐ加速でも、まるで絶え間なく線形的に加速し続けるよう。ストレートは確実に速い。
コーナー手前でハードブレーキング。効きは強力でありながら漸進的。適度な剛性感あるペダルの感触で、調整しやすい。
速度の変化とともに、PDKも反応。すばやく適切な段数が選ばれ、コーナー出口でのロケットダッシュに備えてくれる。
もちろん、ドライバーがシフトパドルで段数を選ぶこともできる。その方が良い。マシンとの一体感を、より強くしてくれる。
走り慣れない道でも、PDKならMT以上にハイスピードで克服できる。ステアリングホイールを両手で握り、指先で望むギアを即座に選べる。予想外にきついコーナーや急な上り坂でも、最適なレシオを間髪入れずに選び直せる。
ただし、1・2段高いギアでも問題ない。4.0Lという大排気量の自然吸気エンジンは、豊かなトルクを担保。充分に息を呑む勢いの加速を、問題なく引き出せる。
以前にも称賛しているが、この水平対向6気筒は素晴らしい。アクセル操作に対する反応はリニアで、サウンドも望外に良い。4000rpmを過ぎた辺りからエッジが立ちだし、7700rpmのカットオフまで高まり続ける。
シャシーの仕上がりも見事。GTS 4.0が搭載するトランスミッションに関係はない。最もバランスが取れたスポーツカーとして、踊るように身をこなし、ドライバーを陶酔させてくれる。
高いドライバーへの訴求力は損なわれない
ステアリングホイールのレシオや反応速度、重み付けは理想的。コーナーでは、サスペンションが徐々に負荷を高め、背もたれの辺りを軸に旋回していく感覚が得られる。コーナー出口までのライン調整は、太いトルクとLSDがサポートしてくれる。
姿勢制御も白眉に良い。オックスフォードシャー郊外の手強い試乗ルートでも、スポーツモードで舐めるように駆け抜けた。
718ボクスターのボディ剛性は高く、非常に鋭い入力が加わった時に限り、スカットルシェイクの兆候が見られる程度。実際に確認できるのは、サイドミラーがわずかに震えるくらいだ。
GTS 4.0に乗るたびに、濃密な一体感やエンターテインメント性を求めるなら、やはりMTが究極の選択ではある。クラッチペダルを踏み、ゲートをスライドさせてギアを選ぶというプロセスが、より強くドライバーをボクスターへ惹き込んでくれる。
しかし現実の道路環境は、渋滞や信号に溢れている。限界へ迫るような攻め込んだ走りが許されるのは、英国でも限定的。PDKを選択したい気持ちを理解することは、難しいものでない。
718ケイマンGTS 4.0にPDKを組み合わせても、高次元のドライバーへの訴求力が損なわれることはないといっていい。むしろ、日常的な親しみやすさが増すだけ。毎日の道を、より走りやすいものにしてくれる。
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0 PDK(欧州仕様)のスペック
価格:7万548ポンド(952万円)
全長:4390mm
全幅:1800mm
全高:1270mm
最高速度:288km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:230g/km
車両重量:1435kg
パワートレイン:水平対向6気筒3995cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/7000rpm
最大トルク:43.7kg-m/5000-6000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック