【ドアの閉まる音まで】新型日産ノート 謎が解けた、一気の上質化 日産が掲げる「高品質感活動」とは?
公開 : 2020.12.02 05:45
感性に訴える4つの階層 強調なぜ
理由の1つは、近年のモデルで、特に小型・中型車で製造コスト優先に思えるようなクルマ造りの印象をユーザーに与えてしまったことへの反省なのかもしれない。
商品企画の時期を考えれば、新型ノート開発はゴーン体制の中で進んできた。それでも、内田体制が掲げる「日産ネクスト」構想の中で、新生日産を強調するべく、高品質感活動をあえて表に出したように思える。
日産がいう、「造り込まれた高品質感」を実現するため、開発の進め方として4つの階層を設けた。
第1階層は、取組むテーマを明確化すること。
第2階層では、カスタマーの感性に与える提供価値を明確化すること。
第3階層になると、これらの評価を社内で基準化する。
そして、第4階層として、設計として基準化を図る。
具体的にどういう箇所を指すのか?
例えば、外観では、ヘッドライト外周とボディとの合わせ、バックドア開口パネルの見栄え、ドア閉じ音など。
インテリアでは、ステアリング/シフトバイワイヤー/各種スイッチの触感や操作感、内装シルバー加飾の質感、またグローブボックスを閉じる際の操作感など。
日産エンジニアによると「個人的には、日系メーカーでは、マツダの、感性に訴えることを重視したモノづくりが気になる」という。
高品質感開発 むろん、コストを重視
新型ノートの高品質感開発で、多くのユーザーにとってわかりやすい代表例が、「ドア閉じ音」だろう。
クルマの上質感は、ドアを閉めた時を、ズッシリとした音や手に伝わる感触で大きく変わる。
開発にあたり、ドア閉め音の官能評価項目と、それに伴う代表的な物理特性を明確にしたという。
「重厚さ」に対しては「低周波成分の比率」
「収まりの良さ」では「収束時間」
「ガチャつかなさ」では「高周波成分量」
「適度な音の大きさ」は「ラウドネスレベル」とした。
こうした中で、キーポイントは大きく2つ。
ドアのラッチがストライカーと呼ばれる部品に接触する第一打撃音。対策としては、設置部分に空洞を追加してクッションの役割を持たせた。
もう1点は、ドアのバタつきによるドアラッチ内部の金属音だ。対策としては、ドアラッチ内のストッパーを設けるなどした。
こうした細かい配慮により、コンパクトカーとしての車両価格を十分考慮した「コストパフォーマンスが高い、高品質感」を実現したという。
その他、運転支援関連、ウインカー・ハザード、Rギアなど、情報提供音と呼ばれる車内の音についても、「ブザー音から音楽へのエモーショナルな進化」を考慮したという。開発ではバンダイナムコ研究所と協業した。
日産の高品質感活動はさらに進化する。