見た目も充分にアピールできるデザイン

インテリアは、レクサス品質ではなくトヨタの上級版だが、硬質なプラスティック然とした部分は少ない。空間も広い。同等サイズのガソリンエンジン・モデルほど広々ではないが、リアシートでも大人がくつろげる余裕がある。ちなみにMIRAIは5シーターだ。

トランクの容量も、内燃モデルよりやや狭い程度。テスラ・モデルSほどメカニズムが完全に床下へ隠れているわけではないものの、充分な容量を得ている。

スタイリングは、初代MIRAIよりだいぶカッコいい。燃料電池という知的な訴求力だけでなく、見た目の感情としても充分にアピールするデザインだと思う。

電気モーターの最高出力は182psと控えめながら、最大トルクは30.4kg-mある。発進と同時に最大トルクが沸き立ち、スタートダッシュはかなり活発。でも後輪駆動とはいえ、スポーツサルーンではない。

乗り心地は充分に滑らか。ややゴツゴツとした印象があるものの、全般的に振動の丸め方は良い。

ハンドリングの変化はないようだが、ドライブ・モードも付いている。ステアリングホイールの操舵感で、より手応えが感じられるようになる。

何よりMIRAI最大の特徴となるのが、水素燃料電池という技術だ。単に大きなサルーンだとしたら、普通の大きなトヨタ製の4ドアサルーンで片付けられてしまうかもしれない。電気モーターの力で、望外に静かに、滑らかに走ってくれる。

水素燃料電池を自動車市場に問う

2代目MIRAIの英国での価格は、5万ポンドくらい（700万円台）になるという。初代は6万ポンド（810万円）ほどしていた。

トヨタは、まだカムリのようにMIRAIを沢山販売するつもりはない。しかし、FCEVの製造に関わる知見を高めつつ、同時に多くの人の心を惹きつけたいと考えている。

将来のパワートレインに対しては、いろいろな見方がある。確かに燃料電池は航続距離を長く確保でき、水素の充てん時間は充電より短く済む。水素が正解だという人もいるが、筆者はもっと複雑なものになると考えている。

もしトラックやバスに水素燃料電池が搭載されれば、大きな乗用車にも載せたいと考えるユーザーは存在するはず。2代目トヨタMIRAIは、4ドアサルーンとしてFCEVの姿を描き出している。水素燃料電池を、自動車市場へ真剣に問う存在といえるだろう。

トヨタMIRAII（ミライ） プロトタイプ（欧州仕様）のスペック

予想価格：5万ポンド（日本価格：710万円〜と発表）
全長：4975mm
全幅：1885mm
全高：1470mm
最高速度：175km/h
0-100km/h加速：9.2秒
航続距離：643km
CO2排出量：−
車両重量：1950kg
パワートレイン：AC永久磁石同期モーター
燃料電池スタック：330セル
使用燃料：水素
最高出力：182ps
最大トルク：30.4kg-m
ギアボックス：−

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