BMW M3、M4発表

公開 : 2013.12.12 21:15  更新 : 2017.06.01 02:14

新しいBMW M3およびM4が発表された。

注目されるのはそのパワー・ユニットに6気筒ターボ・エンジンが搭載されたことである。Mシリーズにターボ・エンジンが搭載されたのはこれがはじめてで、ナチュラル・アスピレーションにこだわってきたその26年にわたるMディビジョンの伝統を遂に脱ぎ捨てたこととなる。

この新しいM3とM4は、来月のデトロイト・モーターショーでワールド・プレミアを果すこととなる。英国での販売は、2014年の5月からで、価格はM3が£56,175(942万円)、M4が£56,635(950万円)からとなる。

エンジンはM3、M4共にダイレクト・インジェクションの3.0ℓ直列6気筒ツインターボ・ユニットが搭載される。形式名はS55 B30と呼ばれるもの。ボアがφ84.0、ストロークが89.6mmで、N55エンジン・ファミリーになる。しかし、完全に新しいとされるアルミニウム・ブロックやシリンダー・ヘッド、インダクションおよびエグゾースト・システム、そして内部構造が与えられているという。”Mツインパワー・ターボ”というタイトルが付けられてもいる。

ツインターボは最大加給圧1.3barで、水冷-空冷のインタークーラーが装備される。マグネシウム製のサンプを持ち、エンジン自体の重量は旧いV8よりも10kg軽い205kgになっているという。

パワーは425bhp/5500-7300rpm、トルクは56.0kg-m/1850-5500rpmだ。これは、旧いノーマル・アスピレーションの4.0ℓV8よりも11bhp、15.2kg-m大きい数値で、リッターあたり143bhp。これも4.0ℓV8よりも38bhp/ℓ大きい値であり、どのMシリーズのエンジンよりも大きい数値となる。

バルブトロニック・バリアブル・バルブ・タイミングとバリアブル・カムシャフト・タイミングを持つこのエンジンのレブ・リミットは7600rpm。これは4.0ℓV8よりも600rpm低い。

パワー・ウエイト・レシオは、M3では280bhp/トンとなり、前M3よりも22bhp/トン大きい。また、M4も284bhp/トンと、前M3クーペよりも22bhp/トン大きい。比較対象としてポルシェ911は283bhp/トンと、ほぼ同じ値となる。

ギアボックスは標準が6速マニュアル。ゲトラーク製のこのミッションは前モデルのものより12kg軽く仕上がっている。ドライサンプ・ルブリケーション、増えたトルクに対応するためのダブル・プレート・クラッチ、カーボン・セラミック製のライニングなどが採用され、ギアレシオもショート化されている。

また、オプションとしてパドル・シフトを持つMダブル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を選択することも可能。このトランスミッションは、マニュアル・モードとオートマティック・モードの両方を選ぶことができる。ラウンチ・コントロールも付いているが、低速で若干のホイールスピンを許すスモーキー・バーンアウト・セッティングというモードも装備するという。また、限界付近でのハンドリングを向上するために、アンダーステアをセンサーで感知し駆動力を減少させるスタビリティ・クラッチ・コントロールも装備する。

マニュアル、オートマティックともにアイドリング・ストップ・システム、ブレーキ回生システムを持つ。DCTミッションは30kg、マニュアルに対して重くなるため、ボディ重量は、M3では1560kg、M4では1537kgとなる。

新しいドライブトレインの進化としては、カーボンファイバー/強化プラスティック製のプロペラ・シャフトの採用も挙げられる。これは旧いM3よりも40%軽いものだ。また、リアにはアクティブMディファレンシャルという、電子制御マルチ・プレート・クラッチのリミテッド・スリップ・デフが装備される。

パフォーマンスは、マニュアル・モデルで0-100km/h加速が4.3秒。これは前モデルよりも0.5秒速い。またDCTモデルは更に0.2秒速い4.1秒となる。トップスピードは標準では250km/hにリミッターで制限されるが、オプションで280km/hにまで上げることが可能。

燃費はマニュアルで11.4km/ℓ、DCTで12.0km/ℓをマークする。CO2排出量は、マニュアルが204g/km、DCTが194g/kmだ。

基本的にM3、M4はそれぞれ3シリーズ、4シリーズをベースにしている。したがってボディ強度も大きく変わることはない。但し、サスペンションは低くセッティングされ、トレッドはフロントが34mm広い1579mm、リアが18mm広い1603mmとされている。レイアウトはフロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンクという伝統的なものだが、広範囲にわたるチューニングが行われている。ブッシュ類には従来のゴム・ブッシングを使わず、直接ボディにボルト留めされる方式を採用している。これらによって、とても正確なボディ・コントロールと、ロールの減少につながったという。サスペンションはフロントが5kg、リアが3kg、合計で8kgが標準的な3シリーズ、4シリーズよりも軽量化されている。昨年後半にメルセデス・ベンツAMGからBMW Mディビジョンに移籍してきたアルント・マイヤーがそのチューニングを行っている。

ホイールはフロントが9インチ、リアが10インチ、これにタイヤはフロントが255/40、リアが275/40がセットされる。

最新のM5と同様に、ドライバーは3つのドライビング・モードが選択可能。エフィシェンシー、スポーツ、スポーツ・プラスの3つだ。それぞれ、ステアリング、スロットル・レスポンス、ギアシフト・タイミングが調整される。また、ダンピングはコンフォート、スポーツ、スポーツ・プラスの3つを選択可能である。

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