【まるで1クラス上】日産ノートに試乗 気になるワンペダル操作/乗り心地/ノイズを検証 誰に最適なクルマか

公開 : 2020.12.07 12:01  更新 : 2021.10.09 23:24

上級クラス彷彿 高速の長距離に適す

一新されたプラットフォームは走りの質感を大きく変化させた。

最も印象的な変化は静粛性である。

日産ノート(2020年)の乗り心地は少し硬め。減衰の利いたストローク制御で車体の動きに落ち着きがある。段差通過では相応の上下動はあるが、角が丸められた突き上げ。
日産ノート(2020年)の乗り心地は少し硬め。減衰の利いたストローク制御で車体の動きに落ち着きがある。段差通過では相応の上下動はあるが、角が丸められた突き上げ。    神村 聖

エンジン周りの静粛性だけでなくロードノイズも抑制され、バランスのいい静粛性となっていた。

エンジン音もロードノイズも耳障りな高周波成分が少なく、騒音量の低減と騒音の音質の両面から体感静粛性を向上。車体の厚みを感じさせるような静粛性は1クラス上と比しても同等以上だ。

乗り心地は少し硬め。減衰の利いたストローク制御で車体の動きに落ち着きがある。段差通過では相応の上下動はあるが、角が丸められた突き上げであり、それほど不快ではない。

軸周りの揺動の少なさや収まりのよさなどの車体全体の減衰感が質感を高めていた。

ハンドリングは初期応答のいい回頭性とタイムラグ少なく立ち上がる旋回力の素直さ。多くの状況で揺れ返し等の修正舵が不要であり、乗せたいラインに向けて舵を入れていけばいい。

車格に比べると落ち着いた操縦感覚は軽快感に欠くという言い方もできるが、これもまた上級クラスを思わせるものであり、高速長距離用途に適した特性である。

どんな人に日産ノートは最適なのか?

新型はドアの開閉音や各種警告音など五感で感じる質感にもこだわって開発されている。全面からの「安っぽさ」の排除なのだ。

動力性能やフットワークにしても同様である。シートの造りや加飾の質感はコンパクト相応だが、奇を衒わない落ち着いたインテリアデザインも好感が持てる。

日産ノート(2020年)のインテリア。シートの造りや加飾の質感はコンパクト相応だが、落ち着いたインテリアデザインも好感が持てると筆者。
日産ノート(2020年)のインテリア。シートの造りや加飾の質感はコンパクト相応だが、落ち着いたインテリアデザインも好感が持てると筆者。    日産

同じようにポストファミリーのダウンサイザーを意識しながら、嗜好的な演出を主にした先代に対して質や洗練感を軸にしたと考えていいだろう。

ちなみにWLTC総合モード燃費は28.4km/L(X)であり、対フィットHV(リュクス)の1km/L増、対ヤリスHV(Z)の6km/L減であり、実燃費でも先代と同等以上と予想される。

走りの質感を向上させてなおトップクラスの燃費を維持したわけだ。

eパワーと共にニッサンの大きな武器となっているプロパイロットはニッサンコネクトナビとの連携でカーブでの車速制御機能を追加。

プロパイロット2には及ばないまでも同クラスでは先端運転支援機能となる。

気になるのは設定である。

eパワー車のみで3グレード用意されているが、プロパイロットは最上級の「X」へのオプション設定となり、他グレードにはACCとLKAは設定されていない。

もっとも、最廉価の「F」と「X」の価格差は約13万円でしかない。ならばプロパイロット装備の「X」が一択。270万円くらいの予算建てが必要になりそうだ。

ヤリスやフィットも最上級グレードでは同様だが、先進運転支援装着での価格レンジが広いので、相対的に割高な印象は否めない。

それでもヤリスやフィットとキャラや訴求点を違えたのは成功である。洗練された大人っぽいコンパクトカーを求めるユーザーには新型ノートが最も魅力的なモデルとなるだろう。

日産ノートXのスペック

価格:219万円
全長:4045mm
全幅:1695mm
全高:1520mm(1725mm)
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:28.4km/L
CO2排出量:
車両重量:1220kg
パワートレイン:直列3気筒1198cc
使用燃料:ガソリン
エンジン最高出力:82ps/6000rpm
エンジン最大トルク:10.5kg-m/4800rpm
モーター最高出力:116ps/2900-10341rpm
モーター最大トルク(前):28.6kg-m/0-2900rpm

日産ノート(2020年)
日産ノート(2020年)    神村 聖

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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