【バイデン政権どう変わる?】トランプと違うアメ車復活計画のゆくえ オバマ「失策」などから将来を予想
公開 : 2021.01.02 11:05
かんたんな事務処理で数十億円補助…
もう1つが、返済義務なしの補助金だ。
ここに、多くのベンチャー企業が群がった。
創業間もない小規模なEVメーカー、リチウムイオン二次電池メーカー、モーターやインバーターメーカー、さらに太陽光パネルメーカーでも補助金申請が多かった。
申請が受理された企業の経営者から直接話を聞いたことがある。その企業は、デリバリー用の中型EVトラックの製造メーカーだった。
彼は「申請はとても簡単。審査も早く、これでわれわれは数百万ドル(数十億円)を得ることができた」と実状を教えてくれた。
さらに「オバマ大統領自身が、われわれの製造拠点を訪問し、1時間近くに渡り従業員と意見交換をしてくれた」と、政府の手厚い対応に驚いたとも言った。
こうした証言からもわかるように、この補助金制度は申請者サイドから多くの「抜け道」があり、かなり無理な事業計画を立てたメーカーが経営不振に陥るケースが目立った。
結果的に、グリーンニューディール政策は自動車については「失策」だったと言わざるを得ない。
こうした経験を踏まえて、バイデン政権では民主党内部で、新しい形式のグリーンニューディール政策を考案するのであろう。
または、すでに広がっている大手メーカーのEV事業や、第二/第三のテスラを育てる施策などを講じる可能性もあろう。
どうなるバイデン政権? 電動化加速
具体的にアメ車の電動化がどう進むのか?
結論を言えば、EVとプラグインハイブリッド車が続々と登場する。
理由は、CAFE(企業別平均燃費)の強化だ。オバマ政権下で打ち出した基準に対して、トランプ政権では大幅緩和という姿勢を打ち出していたが、これを撤廃する。
そうなると、アメリカの燃費達成目標は、世界で最も厳しい欧州CO2規制のような厳格化されることになる。
そのため、欧州メーカーによる電動化シフトの波が、デトロイト3(GM、フォード、ステランティス)や、アメリカに製造拠点を置く日系メーカーにも押し寄せてくる。
また、カリフォルニア州が9月に発表した「2035年までのICE(内燃機関:ガソリン車とディーゼル車)の新車販売禁止」が全米規模に拡大する可能性もある。
パリ協定への復活が確実視されており、バイデン政権は自動車を環境関連施策の中核に据えることになるだろう。
日本でも、菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」という命題の中で、一部報道があったような「2030年代前半(または中盤)でガソリン車・新車販売禁止」という施策がある。
これから日本とアメリカが、クルマの電動化シフトに向けて大きく舵をとることになりそうだ。
すでに、ジープやGMCハマーなどで電動モデルが登場してきたが、このトレンドがさらに加速することは間違いない。