【ラリーウエポン5台揃い踏み】フォード・エスコート ツインカムからRSコスワースまで 中編
公開 : 2020.12.26 20:25 更新 : 2021.05.18 16:15
前輪駆動の競争力アップで選ばれたターボ
ボールが所有する3代目エスコートは、過去に大きなレストアを受けていない。サスペンションはピンと張りがあり、姿勢を正している。走行中の余計なきしみ音や振動なども、一切なかった。
5台のコレクションで一番状態に優れるのは、Mk4エスコートRSターボだろう。後期型のシリーズ2で、走行距離はわずかに2万7900km。英国で1番状態の良い4代目エスコートだと思う。
「以前のオーナーは、このクルマで複数のコンクールを優勝しています。サーキット走行もされていたようですが、わたしがオーナーになってからは走っていません」。とボールが話す。
「すべてのボディパネルが新車時のままで、塗装もオリジナル。レストアを受けずに、長年大切に乗られてきました」
3代目と4代目、1980年代に生まれた2台は、少し違いがわかりにくい。Mk4は、Mk3のフェイスリフト版と考えた方が、理にかなっている。特にシリーズ1のRSターボは、見た目が近い。
ホモロゲーション・スペシャルとして誕生したエスコートRSターボは、グループAとグループNで戦うことを前提に生まれた。費用対効果の高い手段としてターボが選ばれ、エスコートの競争力を引き上げてある。
ベースのエンジンは、3代目と同じ1597ccのCVHユニット。強化タペットにボッシュ製インジェクション、ツインコイル・ディストリビューターなどを採用している。
過給器はギャレット製のT3ターボで、最高出力は133psを獲得。当時のFFモデルとしては初めてビスカス式のLSDが組まれ、トラクションを確保してある。
この続きは後編にて。