【2つの理由】新型トヨタ・ミライ、まるで次期クラウンと思えるワケ レクサスLSや新生クラウンもFCV化は
公開 : 2020.12.11 05:45 更新 : 2021.01.28 18:23
クラウンっぽさ、感じるのは当然
結果的に、2代目ミライがクラウンっぽいデザイン志向となるのは当然だと思う。
理由は大きく2つある。
1つは、クラウンはトヨタブランドの最上級車であること。
2つ目は、SUVやミニバンなど背の高いクルマにはしたくなかったということだ。
走りの良さを体感できるプレミアムカーとして、低重心でスタイリッシュなセダンとなり、そうした上級セダンがFCVとすることが、技術者として大きなチャレンジでもあったのだと思う。
一方で、日本を含めた世界市場における「普通のクルマ=人気車種」のトレンドが近年、大きく変化してきた。
特に目立つ動きが、アメリカから始まり中国や欧州、そして日本にも広がってきた、C/DセグメントセダンからのSUVシフトだ。
商品企画のタイミングから考えて、こうしたSUVシフトを2代目ミライに適用する可能性はゼロではなかったはずだ。
だが、これまでのFCVの進化を考えると、トヨタでは2002年に世界に先駆けて日米で限定発売した「FCHV」がSUV形状であり、また初代ミライはセダンながらも若干の背高感が残った。
その上で、田中氏としては、2代目ミライを「まるで次期クラウンか、レクサスのようだ」という感想を持ってもらうことは技術者としてとても嬉しいのだと思う。
クロス化路線でFCV普及めざす
では、2代目ミライは、トヨタ社内用語でいう「ヨコテン(横展開)」をこれからどう進めるのか?
以下は筆者の予想である。
第一は、レクサス化だ。2015年に試作車を公開しているが、デザインから車格は「LS」と見るのが自然だ。
当時のレクサスインターナショナル・プレジデント、澤良宏氏は筆者との意見交換の中で「レクサスでの燃料電池車採用は当然の流れ。導入時期は市場動向をしっかり見ながら進める」という認識を示していた。
第二は、新生「クラウン」FCVだ。
次期クラウンSUV化に関する各種報道や噂について、「火のない所に煙は立たぬ」という前提で言えば、好調の「ヤリス・クロス」、2021年登場予定と言われている「カローラ・クロス」という「クロス(オーバー)」路線の最上級としてクラウンの「クロス化」は十分に考えられる発想だ。
その「クラウン・クロス」の最上級グレードが、2代目ミライで培ったFCVユニットを移植される可能性があるはずだ。
こうしてトヨタFCVの現状を近未来の動向を俯瞰してみると、2代目ミライの役割はFCV本格普及に向けた大きな柱であることがわかる。
プリウスという柱を軸に、トヨタハイブリッド展開が始まったように、2代目ミライを軸足としたトヨタのFCV普及戦略が今後、着々と進んでいくことになるだろう。