【この顔、4シリーズ新型】M440i試乗 BMWという手練れが造り込む“クーペとしての華”が、見事に宿っていた

公開 : 2020.12.11 18:45  更新 : 2021.10.09 23:31

スローな時間が流れるワゴン 318iツーリング

M440iと同じくブリヂストンのトランザを履いているものの、318iツーリングの方は前後異型ではなく225/50R17。

直4の1998ccパワーユニットは25.5kg-m/156psと、とくに最大出力は抑え気味でアンダースペックにすら見える。

BMW 318iツーリング。ワゴンタイプの3シリーズに追加されたエントリーモデルだ。
BMW 318iツーリング。ワゴンタイプの3シリーズに追加されたエントリーモデルだ。    池之平昌信

ところが意外や、2850mmというM440iと同じホイールベースに1600mmを僅かに切るトレッドという、接地面ジオメトリーはけっこう似ている。無論、車高も重心も当然高いが、リアの開閉式ハッチガラスのような伝統の実用ディティールを見ると、然るべきトレードオフの範囲内だ。

おそらくはウインドウの切り欠き線のためだけだろう、広々した印象のコクピットから、2気筒少なくシンプルなFRシャシー、かつ車重も130kgほど軽いツーリング・ボディを操るのは、速さではなくクルマとの対話を楽しめる、そういう種類のスポーツドライビングだ。

短いにせよ、しっかりストロークして受け止めるような優しいハンドリングと乗り心地も秀逸だが、さすがそこはBMW、それでも主役はエンジンにある。

156psのピークパワーは4500rpmという低い発生域ながらも、そのフィールは8速ATの味つけも手伝って、粘りというより回転数をきっちり使って昇りつめていく。無駄なくキレイに燃焼させられつつ、操っているという感覚に、乗り手として嬉しくなるのだ。

同じくスポーツツアラーというジャンルでありながら、かたや1025万円のエレガントなパフォーマンスクーペたるM440iと、かたや質実剛健なスポーティワゴンとして欠くところない523万円の318iツーリングは、見事な対比を見せてくれる2台だった。

ここまで表現や個性を違えられることに、BMWの稀なる血統と名調教師ぶりが潜んでいるのだ。

新型4シリーズ 試乗車スペック

BMW M440i xドライブ・クーペ

価格:1025万円
全長:4775mm
全幅:1850mm
全高:1395mm
ホイールベース:2850mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:11.2km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1740kg
パワートレイン:2997cc直列6気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:387ps/5800rpm
最大トルク:51.0kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速AT
乗車定員:4名

新型4シリーズのトランク
新型4シリーズのトランク    池之平昌信

3シリーズ・ツーリング 試乗車スペック

BMW 318iツーリング

価格:523万円
全長:4715mm
全幅:1825mm
全高:1470mm
ホイールベース:2850mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:13.3km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1610kg
パワートレイン:1998cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:156ps/4500rpm
最大トルク:25.5kg-m/1300-4300rpm
ギアボックス:8速AT
乗車定員:5名

BMW 318iツーリング
BMW 318iツーリング    池之平昌信

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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