【ガソリン・ハイパーカー死滅?】日本でも規制強化も報道 ハイパーカーに大きなプレミアム値が付く?
公開 : 2021.01.03 11:05 更新 : 2021.01.03 12:50
電動化は「規制ありき」と言い切る
欧州の事例の他、1990年に施行されたアメリカ・カリフォルニア州環境局によるZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)が長年に渡り世界市場での電動化政策をリードしてきた。
日本車では「RAV4 EV」、「フィットEV」、「デミオEV」などが発売されきたが、トヨタ、ホンダ、マツダそれぞれの幹部は「あくまでもZEVありき」と言い切っていた。
つまり、規制がなければEV市場は成長しないという意味だ。製造と生産のコストが高い割には市場での需要は少なく、粗利が少ないでは済まされず、電動化の多くが赤字事業になってしまうからだ。
燃料電池車(FCV)についても、この分野を主導するトヨタは先行開発と社会貢献という文脈での研究と量産が進んできた。
その他、中国でも2019年からNEV(新エネルギー車)に関する規制が始まり、自動車メーカー各社はZEVや欧州CO2規制に加えて、NEVへの対策に頭を悩ましている。
こうした規制があるから、EV、PHEV、そしてFCVの開発が存在する、と言える。
その規制を、日本でも強化しようというのが、昨今話題の「ガソリン車禁止」である。
ここでいう、ガソリン車とはカリフォルニア州での事例を考慮すると、インターナルコンバッションエンジン(内燃機関)を指すとも考えられ、そこにはディーゼルエンジンが含まれる可能性がある。
ガソリン車は遺物として価値上がる?
日本での規制強化で気になるのは、実施の時期だ。
「政府方針では2030年半ば」を目指すという報道がある一方で、東京都は「2030年」という明確な設定年を挙げている。
仮に2030年だとすると、いま(2020年12月)から、たった9年間しかない。
通常の自動車モデルならば、2世代分。また、最近は一気に若返りを進めている日産だが、現行車では車齢9年は珍しくない。
つまり、ガソリン車禁止は、ユーザーにとっても「目の前に迫った、自分事」なのである。
こうした規制が始まるまでに電動化部品の量産効果が一気に進み、ハイブリッドやPHEV、EVの新車価格を大きく下げることは、メーカーの立場からすると生易しいことではない。
そうなると、ユーザーはハイパーカーに限らず、新車購入の負担が増える可能性がある。
一方で、新車として買えなくなるガソリン車、なかでもハイパーカーには中古車市場でプレミアムが付き、高値で売買される可能性もあるだろう。
アメリカの25年ルールなどで、90年代の「GT-R」や「シルビアS14/S15」が高値で売買されていることは記憶に新しいが、そうしたプレミアム市場の規模が、電動化義務化によって一気に拡大してしまうかもしれない。
いずれにしても、2020年代から2030年代にかけて、自動車は大きな変革期となることは間違いない。