【ご注意を】ガソリン車、新車販売禁止の「混乱」 安易に乗っからず「落ち着いて」 電動化あらゆる手段 一方…
公開 : 2020.12.14 05:45 更新 : 2022.03.24 21:24
「政府、2030年代半ばにガソリン車新車販売禁止へ 欧米中の動きに対抗」の報道。ちょっと落ち着いて捉え直す必要があります。最適解は1つではありません。
ガソリン車、新車販売禁止の「混乱」
「政府、2030年代半ばにガソリン車新車販売禁止へ 欧米中の動きに対抗」
12月3日に某全国紙が発信したこの記事は、菅首相の所信表明演説に盛り込まれた、2050年カーボンニュートラル実現の意向を踏まえて検討されていた事項の1つがスクープされたものだ。
この報道が直後から大きな反響を呼ぶことになったのはご存知の通りだ。
いや、僕のようなクルマ屋の端くれ側からみれば、混乱といった方が適切にみえる。
混乱の一番の原因は「ガソリン車」という形容にあるだろう。
ネタ元のお役所かお役人かがそう言ったか否かは知る由もないが、これでは一般の読者が疑問を抱き、不安を煽られても仕方がない。
自動車業界的には電動化車両を「electrified」、それに対して純内燃機関車両を「internal combustion engine」などと表現し、その中の識別子として前者の側にPHEV(プラグインハイブリッド車)やHEV(ハイブリッド車)、後者の側にICEが用いられている。
確かにこれを一般的に理解してもらうのは難しい。
が、この報道に関しては何よりそこを明確化する必要があった。
メディアもとより政治「落ち着いて」
ざっくりとガソリン車禁止と片付けられては、ディーゼル車はどうなるの? ハイブリッドもガソリン使ってるからガソリン車? と、一般の読者が戸惑うことになる。
或いは先読み的に捉えて、「もう30年代以降はBEVしか買えなくなる」と思い込んだ読者も少なからずいたはずだ。
僕がみるに、この雑な第一報に多くのメディアのみならず、閣僚や首長までもが安易に乗っかっていったフシがある。
小泉環境大臣が「30年半ばなどと曖昧にせず35年と断言すべき」と言えば、小池都知事は「東京は30年までに達成しますよ」と被せてくる始末で、そこに何をどうするという詳報や解説はなされぬままだ。
果たして、30年だか35年にはBEVしか買えなくなるというのなら、充電施設のないうちのマンションの資産価値は一体どうなるのよ?
購入補助やインフラ整備に税金使われるわけ?
と、ミスリードはあらぬ方向へと膨らんでいくわけである。
ゆえにトランプvsグレタの舌戦ではないが、メディアはもとより政治家にはことのほか「落ち着け」と申し上げたくもなる。
そもそもこの話の胴元である内閣官房や経産省は、カーボンニュートラル宣言の機を冷静に見計らっていたはずだ。