【やはりトヨタは強かった】2020年振り返り クロス化戦略第一段階の完了 電動化シフトへの地盤固め
公開 : 2020.12.31 11:05
コロナ禍の2020年、自動車産業にさまざまな変化が生まれました。目立ったのがトヨタの強さです。「クロス化」戦略からFCV戦略まで、振り返ります。
2020年 結局、トヨタが強かった
2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、これまで誰も経験したことのない、さまざまなことが世界各地で起こった。
コロナ禍での自動車産業界で見ると、3月のジュネーブモーターショーが開催直前に中止となり、オンライン発表会となった。
さらに欧米での感染拡大が続き、パリやニューヨークでロックダウン(都市封鎖)が起こり、日本でも4月に緊急事態宣言が発せられた。
こうした中、感染拡大防止の観点から、自動車メーカー各社は生産拠点、また販売拠点の一時的な停止を強いられた。ユーザーも外出自粛をしたため、自動車販売は大きく落ち込んだ。
実際、トヨタが8月6日に公表した、2021年3月期 第1四半期決算報告によると、前年同期比で50%となる115万8000台まで低迷した。
特に影響が大きかったアメリカでは38.3%、次いでアジア(日本除く)が44.4%、欧州が50.6%となる一方で、日本は69.3%と世界市場の中では落ち込み幅は少なかった。
これは、日本での感染者数が世界主要国の中では少ないこと。また、新型車の需要が着実に伸びたことが要因として挙げられる。
その後、11月6日公表のトヨタ第2四半期決算報告では、今夏以降の世界的な市場回復の傾向が鮮明になった。
背景にあるのは、市場環境にマッチした新型モデル投入と、トヨタの販売力の強さである。
2019年〜「クロス化」路線の地固め
ここからは、日本市場に絞って話を進める。
市場のトレンドでは、SUVシフトがさらに鮮明になってきた。トヨタでは「クロス(オーバー)化」といえる。
これまでもトヨタラインナップでは、最上級の「ランドクルーザー」、多くの世代に支持を得てきた「ハリアー」、そして先進的なデザインの「C-HR」があった。
こうした中で、2019年からSUVのテコ入れが一気に始まった。
まずは「RAV4」だ。日本では3年弱のインターバルを置いての復活となった。
第5世代となった今回、先行発売されたアメリカにおけるC/DセグメントセダンからSUVシフトというトレンドに後押しされ販売が大きく伸び、結果的に日本導入が実現した。
また、日本では手軽なキャンプ人気に加えて、アウトドアで活用するギア(道具)をイメージしたファッションアイテムが幅広い世代で需要が増えたことも、RAV4復活と販売増加に直接結び付いたといえる。
このトレンドを上手に受け取る形で、「ライズ」が2019年後半にデビュー。トヨタの新しい車体構造であるTNGA思想を活用した、ダイハツのDNGAを採用して、小粒ながらしっかりとした走り味を実現した。
この「ライズ」の新車効果が2020年初頭から年末まで持続している状況だ。