【ターボ譲りの2.9L V6ツインターボ】ポルシェ・マカンGTSへ試乗 ドライバーも家族も幸せ
公開 : 2020.12.19 10:25
アクセルを踏み込むほど運転に惹き込まれる
積極的にタイトコーナーへ突っ込めば、スポーツプラス・モードでも多少のボディロールは許す。だが、その動きは極めて抑制されている。グリップが高いだけでなく、ステアリングホイールには、フロントタイヤの状態が手に取るように伝わってくる。
再調整されたアダプティブダンパーに加えて、知的なトルクベクタリング・システムを叶えるPTVプラス・デフに、正確で情報量豊かなパワーステアリング、リア寄りの駆動配分などが融合。マカンGTSは高速にコーナーを駆け抜けていく。
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオのように、エネルギッシュさを感じるほどの身のこなしではない。しかしアクセルペダルを踏み込むほど、運転に惹き込まれていく。ダルさはみじんもない。
感心するほどの動的性能は、日常利用できるパフォーマンスSUVとしての訴求力を、一層強めている。それは乗り心地でも同様。硬いものの、落ち着きがなかったり、荒れた路面で姿勢が乱れるということは一切ない。
波打つような路面を走っていてもサスペンションがしっかり機能し、タイヤはアスファルトを掴み続けてくれる。足回りのマナーは、ただただ素晴らしい。スポーツプラス・モードで深いわだちや隆起部分を超えても、車内へ伝わる動揺は限られている。
リラックスして運転したいと思えば、付き合いやすく上品なファミリーSUVに早変わり。高速道路では多少忙しない印象があるものの、不快さを感じるほどではない。
同時に車内は静音でもある。エアサスペンションが屈伸する動作音が、低速域でわずかに耳に届く程度。ロードノイズや風切り音も、邪魔に感じるボリュームではないはずだ。
ドライバーを楽しませつつ、市街地は快適
ポルシェ・マカンGTSの英国価格は、5万8816ポンド(794万円)からと、安くはない。ポルシェだから、高額で多彩なオプションリストにも目が奪われてしまう。
試乗車に付いていたPTVプラス・デフやエアサスペンション、スポーツクロノ・パッケージは、多くのドライバーが付けたいと思うオプションだろう。これを全部乗せると、さらに2900ポンド(39万円)が必要だ。
アダプティブ・クルーズコントロールにアルカンターラのインテリアなど、好みのオプションを選べば、簡単に1万ポンド(135万円)くらいは上昇する。そうなると、フラッグシップのマカン・ターボも選べる金額になってしまう。
パフォーマンスSUVというクルマのコンセプトに、疑問もなくはない。しかし、マカンGTSを運転すれば、感心せずにはいられない。
SUVでありながら、郊外の開けた道へ進めば、ドライバーを充分に楽しませてくれる。それでいて、市街地の走りはずっと快適。ドライビングポジションは理想的だから、家族とのドライブも幸せにこなせるはず。荷室も含めて、車内空間には十分な余裕もある。
ポルシェの売り込みに、乗ってしまうという選択も悪くはなさそうだ。
ポルシェ・マカンGTS(英国仕様)のスペック
価格:7万5380ポンド(1017万円/試乗車)
全長:4697mm
全幅:1923mm
全高:1624mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:4.7秒(スポーツクロノ・パッケージ装着時)
燃費:10.4km/L
CO2排出量:218g/km
車両重量:1910kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:381ps/5200-6700rpm
最大トルク:52.9kg-m/1750-5000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック