【見逃せないエントリーグレード】メルセデス・ベンツ Eクラス・セダン改良新型の評価は? マイルドハイブリッド、E200スポーツ試乗

公開 : 2020.12.15 11:45  更新 : 2021.12.27 23:52

1.5Lターボ+48VマイルドHV

搭載エンジンは1.5Lのダウンサイジングターボ。時代に逆行してショートストローク設計なのは、2Lエンジンからボアを詰めて排気量減を図ったため。

……と、記せば低廉普及仕様のように誤解されそうだが、48VのBSG(ベルト駆動ISG)と専用リチウムイオン電池を用いたマイルドハイブリッドを採用した旬なエンジンである。ちなみに上位モデルのE 220 dとE 300は、BSG非採用である。

試乗車の外装色はハイテックシルバー(9万7000円)。
試乗車の外装色はハイテックシルバー(9万7000円)。    前田恵介

電動モーター(ISG)は発電/回生と始動/パワーアシストを行う。

マイルドハイブリッドでは標準的な機能であり、動的にはスムーズな始動と初期加速反応の向上が挙げられ、E 200も例外ではない。

発進時や緩やかな踏み増しの初期トルクの立ち上げが素早く滑らか。ターボの過給圧上昇などのタイムラグもあるはずだが、そのトルク変動を電動モーターの制御で上手く均している。

比較的浅いアクセル開度での加速反応では2.5L級以上の余力を感じるが、踏み込み量が増えた時の上げ代は少なめ。2L級は上回るものの回す程に盛り上がるような加速感はない。

回しても4000rpm超に留め、9速ATを利して狭い回転レンジでリズミカルな運転を楽しむ。そんなドライビングが心地よいパワートレインでもある。

ヲタク心を掴む 最新MBUX/ADAS

増加するスイッチをデザインに取り込んだ新造形のステアリングが目を惹くが、インパネまわりの基本造形は従来車と共通。

流行りのパッドPC型センターディスプレイに比べると多少古くも見えるが、12.3インチワイドスクリーン2面構成は多機能表示のグラスコクピットを構成。機能的には最新仕様に更新されている。

試乗車の内装はAMGインテリア・パッケージのブラック(ナッパレザー/グレーステッチ入り)。
試乗車の内装はAMGインテリア・パッケージのブラック(ナッパレザー/グレーステッチ入り)。    前田恵介

MB車の象徴的装備になりつつあるMBUXも採用。

「はぁいメルセデス」で起動する対話型ボイスコマンドとIT機能が有名だが、Eクラスではタッチパッド上方空間にハンドサインを翳すことで登録機能を機動する新機能も追加。

目的地設定を登録して試してみたが、反応速く実用性が高い。ちょいとヲタク趣味で言えば、無詠唱で魔法を発動するような感じも楽しい。

運転支援関連も最新仕様。

ACCやLKAの使い勝手のよさに加えて、LKA作動時のステア保持認識に静電パッド式を加えて、手放しの誤認識がなくなった。運転支援システムでも、作動時の違和感の少なさも見所だ。

「買い」か?

同系パワートレインを搭載するC 200セダン・ローレウスエディションとの価格差は150万円以上。車格の差が、しっかりと価格に反映されている。

今さらの話でわざわざCクラスと比較する必要もないと思っていても、調べてしまうのはE 200スポーツの若々しさに惹かれたからである。

写真のアクティブパーキングアシストをはじめ、メルセデス最新の安全運転支援システムがすべてのEクラスに標準装備となる。
写真のアクティブパーキングアシストをはじめ、メルセデス最新の安全運転支援システムがすべてのEクラスに標準装備となる。    前田恵介

大柄な男性4名が寛いで過ごせるキャビンスペースとシートの設え。トランクスペースも大容量。

テレマティックサービスも含めて大半の機能装備は標準装着され、OPのほとんどは内外装関連。

安定感に優れた重質な乗り味と静かな室内。エントリーに位置してもEクラスの車格を堪能できる。

そこに若々しくカジュアルな外観と運転感覚が加わえればCクラスの兄貴分にして強力なライバル! ……とオチを付けたかったが、MB車コスパ一定則のとおりの価格差。

それでもMCの方向性を最もよく表したモデルがE200スポーツなのは間違いなく、エントリーながら主力モデル的な存在。

プレミアムセダン選びの軸になるモデルである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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