【GTIと同値の245ps】フォルクスワーゲン・ゴルフGTEへ試乗 環境型ホットハッチと呼べる
公開 : 2020.12.22 10:25
次世代の高性能ゴルフといえるプラグイン・ハイブリッドのGTE。システム総合の最高出力は245psに高められ、8代目GTIと同値を獲得。ハンドリングも向上し、環境に優しいホットハッチと呼べると英国編集部は評価します。
最高出力はGTIと同値の245ps
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のゴルフ、GTEが英国へ上陸する。実用性はそのままに、高次元の動的性能と充足感の高いドライビング体験を備えつつ、低燃費でお財布にも優しい。両立が難しい内容にも思えるが、実現していれば魅力的だ。
7代目ゴルフにもGTEは存在していた。PHEVの基準なら、洗練された走りを実現したモデルだった。一方で秀才揃いの7代目ゴルフとしては、若干の生煮え感も残っていた。
高速ファミリー・ハッチバックに期待するエネルギッシュさが、パワートレインにはなかった。ハンドリングは悪くなかったものの、バッテリーなどによる重量増で敏捷性には陰りが出ていた。良くいえば、落ち着いた印象のクルマだった。
それでは、8代目ゴルフのGTEはどうだろう。環境に優しいGTIといえる内容なのだろうか。
実際のところ、システム構成は7代目と大きな違いはない。フロントに搭載するエンジンは1.4Lの4気筒ガソリンターボで、6速デュアルクラッチATに内蔵された電気モーターとペアを組む。
エンジンは150ps、電気モーターは108psの能力があり、システム総合で245psを獲得している。この馬力は、8代目GTIとまったくの同値。先代GTEと比べると、41psもパワーアップしている。最大トルクは先代から5.1kg-m増しの、40.7kg-mもある。
走行用バッテリーは13kWhに容量が増え、EVモードで最大63kmの航続距離を実現。この環境性能は、英国なら税制面でも有利に働く。試乗車の場合、80%の充電で38kmの航続距離が示されていた。フル充電なら48kmくらいは走れるだろう。
GTEは高速道路と相性が良い
スタートボタンを押すと、デフォルトでGTEは電気モーターだけで走り出す。市街地程度の走行なら、余裕しゃくしゃく。アクセルレスポンスに優れ、鋭い加速で制限速度に素早く到達する。
住宅地のような低い速度域でも、GTEの乗り心地は良い。通常のゴルフと比べれば少し劣るが、洗練度が高くまとまりが良い。オプションのアダプティブ・ダンパーが、良い働きをしているのだろう。
ボディの動きはしっかり制御され、希に落ち着かない場面があるものの、硬すぎるとは感じない。マンホールや橋桁の継ぎ目を通過すると、多少の振動が伝わってくる。
アクセルペダルを少し強めに踏み込めば、1.4Lのガソリンターボエンジンが目を覚まし、力をすぐに加算してくれる。軽負荷時でのフィーリングは滑らかで、音も静かだ。
郊外へ出てペースが速まると、GTEは高速道路と相性が良いことに気付く。ロードノイズや風切り音は小さく、運転姿勢も適正だからだ。
ガソリンエンジンと電気モーターも知的に協働し、反応が悪かったり、力不足を感じる場面はない。上り坂の合流車線でも、追い越し車線を勢いよく走る場面でも。
6速デュアルクラッチATの動作も滑らか。スポーツ・モードを選択すれば、心地いいエグゾーストノートを聞かせてもくれる。ゴルフGTIが積む2.0Lエンジンほど肉厚なサウンドではなく、レッドゾーン手前では少し息苦しそうにもなるが、耳障りではない。