【テスラ人気いつまで続く】モデル3販売絶好調 エントリーモデル270万円計画も トヨタはどう対抗?
公開 : 2021.01.04 11:05
多モデル化戦略へ 入門モデル投入
米政府からの支援を受け、旧トヨタ工場をEV組立工場へと作り替え、「モデルS」を製造・販売し、現在まで続くプレミアムEV市場の幕開けとなった。
クロスオーバーの「モデルX」。さらに、ミドルクラスの「モデル3」の登場により、生産台数は一気に増加した。当初は製造施設の生産能力不足が指摘されたが、直近の2020年後半では、「モデル3」生産・販売台数は、アメリカの主力モデルであるトヨタ「カローラ」やホンダ「アコード」と同等レベルまで拡大した安定供給をおこなっている。
また、ピックアップトラックの「サイバートラック」や、長距離トラックのトレーラーヘッド(貨物部分をけん引する車両)の「SEMI」などの量産を目指している。
さらに、2020年9月に新型コロナウイルス感染防止の観点から屋外の大型駐車場で開催した株主総会で、「モデル3」よりも価格の安い、2万5000ドル(約270万円)のエントリーモデルを近年中に製造・販売する計画を明らかにした。
これに伴い、電池のコスト削減に向けて、電池内部に使用する素材や電池構造の見直しをおこなうなど、テスラが電池事業に直接に関与する事業方針についても、その概要を説明した。
テスラはいま、次の時代に向けて新たなる歩みを始めた。
テスラの動向 トヨタはどう見る
こうしたテスラの動向を、トヨタはどう見ているのか?
トヨタはこれまで、テスラに対して車両組立て工場の売却、テスラの新規事業への投資、また米ZEV規制法への対応から2代目「RAV4 EV」の開発をテスラに委託するなど、様々な関係を持ってきた。
その上で、豊田章男社長は2020年11月におこなった今期中間決算発表の記者・意見交換の中で、自身のテスラに対する感想を述べている。
それによると、テスラからソフトウェアやエネルギーマネージメントの分野で学ぶところがある。
だたし、トヨタとしても過去3年間はCASE分野の投資を拡大しており、TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)などの新組織を拡充してきた。
さらにトヨタの強みが、リアルワールドで数多くのクルマとユーザーがいることを強調した。
例えるならば、トヨタは料理のキッチン、シェフの両方があり、豊富なレシピがある。その中には(テスラに負けない)電動化のメニューも多い、と表現した。
われわれはけっして、てをこまないているのではない、ともいう。
以上のように、市場におけるテスラの存在感の大きさを十分認めた上で、トヨタとしてはいつの日も、チャレンジャーとしての気持ちを忘れないことを主張した。
そうした挑戦を受ける立場のテスラ。10年後、どのような企業に育っているのだろうか?