【詳細データテスト】ザ・グッドイヤー・ブリンプ 快適至極な空の旅 ファミリーカーの街乗りより静か 飛行機より船に近い乗り心地
公開 : 2020.12.19 20:25 更新 : 2021.03.05 21:27
結論 ★★★★★★★★★★
ほとんどの飛行機やヘリコプターは、姿が見える前に音が聞こえてくるものだが、ザ・グッドイヤー・ブリンプは真逆だ。このツェッペリンLZ N07-101は、ボーイング747より4m長い巨大な船体の持ち主だ。ところが、街なかを走るファミリーカーよりも静かなのである。
それゆえ、どこに行っても、登場すると驚きを持って迎えられる。見上げるひとびとの目には、まるで巨大なクジラがゆったりと宙に浮かんでいるように映るだろう。そして、天空にあってさえ、地上にいるときと変わらず関心を引き、見るものを魅了するというのだからすごいことだ。
なによりもまず、その万能ぶりはほかに並ぶものがない。その性質ゆえ、今後も替えの効かない存在であり続けるはずだ。
強風や悪天候に晒されて飛ぶのは苦手だし、スピードが出るわけでもない。しかし、特定の空域に安定して穏やかに留まったり、とことんゆっくり移動したり、長時間にわたり浮遊し続けられたりする能力は、それが求められる用途に供されれば、ほかに類がないほど使い勝手がいいのだ。
それに、この飛行船に接しているのはとにかく楽しい。それゆえ、広告媒体としてすばらしく有効なのだが、単純にそのコンセプトそのものにも好奇心をかき立てられるのだ。
飛行機のようでもあり、空を行く潜水艦のようでもあり、だが、それらより親しみやすくワクワクさせてくれる。われわれは、すっかり気に入ってしまった。
担当テスターのアドバイス
・気球部分を押してみると、その手触りはバルーン遊具と同じくらいの内圧だろうと思われる反発力が感じられる。
・激しい嵐やひょう、雪の中では飛行しない。船体上部に湿った雪が2cm積もると、その重量は2.5tにも達するのだ。
・10時間もの長いフライトの終わり、燃料は少なく、ふわふわ浮かぶ気球が強風にさらされていたため、重力まかせの穏やかな着地をあきらめ、「空力的」着陸を試みなければならなくなった。それは、素人なりに分かった範囲で説明すると、機首を風上に向け、適切な速度で鼻先を下向きにする。そこで、地上で待ち構えるスタッフが船首から垂れ下がったワイヤーをつかみ、それをトラックに設置した装置で巻き取るのだ。
改善してほしいポイント
・乗船定員を増やしてほしい。
・使用料がもっと安ければありがたい。