【最低地上高も抜かりない】メルセデス・ベンツGLA新型 ディーゼル四駆、200 d 4マティックを評価 欧州小型SUVの正統派
公開 : 2020.12.18 05:45 更新 : 2021.12.04 02:19
山へ ディーゼルが上質な味わい
搭載されるパワートレインは「B 200 d」と同型同スペック。
150kg以上重い車重にどうかな、と思っていたのだが、流石にトルクフルなターボ・ディーゼルである。
勾配のきつい連続登坂でも平地巡航時より1段低いギアで済ませる。だいたいが2000rpm台なので、ちょっと回し気味程度の感覚だ。
加速ではそこからさらに1段下げるが、それでも回して3000rpm前後。細かく繋ぐ8速DCTのお陰でもあるが、俊足とまでは言えなくても悠々としたツーリングを楽しむには十分。
回転を抑えて力強く、というタイプなので威圧的な騒音もない。
MB車のSUVラインナップではエントリーに位置するモデルでも、車格以上のプレミアム性を感じさせてくれるパワーフィールである。
ハンドリング/高速道路も試す
路面の凹凸に多少神経質な部分もあるが、FF系4WD車にしては沈み込みストロークも上手に使うため、硬めなりに乗り心地も悪くない。
しなやかさでは同時に試乗したGLB 250(4WD)に分があるが、好意的に解釈するならGLAらしいヤング&カジュアルな味わいともいえる。
ハンドリングの特性は、他のMB車同様に高速安定性と運転ストレス低減に徹底したタイプ。
下り勾配高速コーナリングでの安心感は群を抜いている。
もっとも、ハイアベを維持しやすいという面では高性能志向だが、打てば響くようなファントゥドライブはなく、走りにのめったマニアにはつまらなく思えるかもしれない。
安心の地力に先進の運転支援で“気軽に長距離”が身上の走りなのだ。
「買い」か?
国産車ならトヨタRAV4 PHVも楽に手が届く価格であり、実用性や悪路踏破性のコスパだけで選ぶには厳しいが、輸入プレミアムSUVではかなり競争力のある値付けである。
同価格帯の輸入SUVにはBMW X2 xドライブ 18d系やアウディQ3 35 TDIクワトロ系など走り自慢の有力ライバル車もあり、いずれも個性と実用性のバランスがよく、好ライバル関係と言える。
そういった欧州競合車との比較ではユーザーの嗜好が大きく影響するが、どちらかと言えばGLAクラスが手堅い選択。
車載ITや運転支援、強化されてクラストップレベルとなった悪路対応力など、コンパクトSUVに求められる様々な用途を全方位的に高水準でまとめている。
そのすべてを求めるユーザーが多数派とは思えないが、無難あるいは安心という点では大きな強味である。
手堅くて面白みに欠く、という言い方もできるのだが、生活やレジャーで長く付き合うにはそのくらいで丁度いいと考えるなら最適な一車と言えるだろう。