【ハレとケの見事なバランス】フォルクスワーゲン・ゴルフRへ試乗 8代目 320ps+四輪駆動 前編
公開 : 2020.12.25 10:25
専用バンパーやリアウィングで差別化
四輪駆動システムも詳しく見ていこう。開発を担当したのは、アメリカのボルグワーナー社。新設計のセンターデフを採用し、リア寄りのトルク配分をベースに高速な分配率の変化を可能としている。
電子制御のリア・ディファレンシャルも新しい。ゴルフとしては初めてブレーキ制御ではなく、トルク可変によるベクタリング機能を実現している。
この四輪駆動システムは、ビークル・ダイナミックマネージャー(VDM)とネットワーク化され制御。アンダーステアを抑え、バランスに優れたドライビング体験が目指されている。新しいドライブモードも追加され、メルセデスAMG A45のようなドリフトも楽しめるらしい。
そのドライブモードには、エコとコンフォート、スポーツ、レース、インディビジュアルの5種類のほかに、ニュルブルクリンク・モードも用意された。ゴルフRのシャシー設定が煮詰められた、難関サーキット前提のモードだ。
続いてスタイリング。新しいゴルフRを、ほかの8代目ゴルフと差別化させている一番の要素は、フロントバンパーだろう。大きなグリルとフロントスプリッターが特徴だ。
サイドシル部分のスカートも大型化され、テールゲート上端からは巨大なスポイラーが伸びている。リアバンパーの下にはディフューザーが加えられ、左右2本づつ、合計4本出しのマフラーが迫力を与えている。
ライバルに並ぶ0-100km/h加速4.7秒
ドアを開いて、次は車内。標準のゴルフに準じたインテリアだが、スポーツ度が増していることは一目瞭然だ。
ヘッドレストが一体となった、彫りの深いスポーツシートは標準装備。サイドサポートは肉厚で、身体をしっかり支えてくれる。着座位置は低く、ステアリングコラムも含めて調整範囲も広い。
太身のステアリングホイール裏に付いたシフトパドルは、GTIよりサイズが大きい。金属製ペダルの雰囲気も良い。モニター式デジタルメーターの表示も、ゴルフRの専用だ。
ダッシュボードの質感は高いものの、光沢の目立つプラスティック製部品は少し安っぽくも見える。それ以外の部分に用いられている素材感は、充分上級ゴルフとして納得できるだろう。
中央には、インフォテインメント・システム用の大きなモニターが収まる。グラフィックは高解像度で、表示はシャープ。試乗車の場合、タッチモニターの反応が少し悪い場面があった。走りに影響はないけれど。
ゴルフRの0-100km/h加速時間は4.7秒。実は先代のゴルフRは4.6秒だったから、わずかに遅れる。一方で、ライバルのBMW M135iやメルセデスAMG A 35の加速時間とは同等。最新ゴルフGTIクラブスポーツの6.2秒とは、大きな開きを得ている。
実際に走らせてみると、ゴルフRは数字以上に速い。停止状態からのダッシュ力に、思わず圧巻されてしまった。
この続きは後編にて。