【高性能純EVのスイートスポット】ポルシェ・タイカン4Sに試乗 ツインモーターで571ps
公開 : 2020.12.27 19:05 更新 : 2021.05.18 16:15
ケイマンのように運転にはのめり込めない
巨大なグリップ力と、正確で適度な重み付けがされたステアリング、タイトな姿勢制御も、機敏な身のこなしを構成する重要な要素。タイカンをハイスピードで初めて運転すれば、誰しもあっけにとられるに違いない。
だが加速の勢いやコーナリングマナーには、いずれ慣れる。その時、マツダ・ロードスターや718ケイマンGTSなどと同じ愛情深い気持ちで、タイカン4Sを見れるだろうか。
タイカン4Sは、ロードスターやケイマンなどより確実に速い。でも、同等に運転へのめり込めるわけではない。単純にアクセルとブレーキ、ステアリングという3つの操作をこなすだけに感じられてしまう。
同じ運転でも、タイカンの場合は求められる内容が少ないとでもいえようか。ドライバーに焦点が向けられたスポーツカーとして、感情的な何かが欠けているようでもある。
現代の純EVの中で評価すれば、タイカン4Sのドライビング体験は素晴らしい。それだけでも充分称賛に値するし、これから到来する電気自動車の時代に光を与えてくれる。ただし印象深い動的性能は、少なくないオプションが支えていることも事実。
今回の試乗車には、後輪操舵にポルシェ・トルクベクタリング・プラス、スポーツクロノ・パッケージなど、8000ポンド(108万円)ぶんも追加されていた。パフォーマンス・バッテリーと合わせると、英国価格は9万1470ポンド(1234万円)に達する。
一度オプションのないタイカン4Sと乗り比べて、どの程度の違いを得ているのか、確かめたいところ。
高性能純EVのスイートスポット
純EVのライバルモデルと比較すれば、ポルシェ・タイカン4Sの訴求力は突出して高い。たとえオプションで価格が上昇していても。
8万9980ポンド(1214万円)のテスラ・モデルSの方が、直線加速は速いかもしれない。しかし、運転の楽しさではタイカンには及ばない。
まもなく登場するアウディeトロンGTは、基本構造をポルシェ・タイカンと共有している。同等の動的性能を備えているはずだが、英国での価格は10万ポンド(1350万円)を超えると予想されている。
俯瞰的に考えると、ポルシェ・タイカン4Sは、高性能純EVのスイートスポットにあることが見えてくる。価格に納得でき、高速で実用的で、能力に長けた純EVスポーツサルーンを求めているのなら、群を抜いて有力な選択肢になるだろう。
ポルシェ・タイカン 4S(英国仕様)のスペック
価格:8万3367ポンド(1125万円)
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1381mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.0秒
航続距離:413km(463km/93.4kWhバッテリー時)
CO2排出量:0g/km
車両重量:2140kg
パワートレイン:交流同期モーター2基
バッテリー:79.2kWhリチウムイオン
最高出力:435ps(571ps/オーバーブースト時)
最大トルク:66.1kg-m
ギアボックス:2速オートマティック