【マークX生産終了】セダン消滅の序章だった? 一時代を築いたマークⅡ 「3兄弟」のなかで唯一生き残った背景
公開 : 2020.12.30 16:25 更新 : 2021.10.13 12:18
2019年末に生産終了したマークXの前身となるマークⅡは「3兄弟」として一時代を築きました。マークⅡのみがマークXとして生き残った理由を考察します。
マークIIのみがマークXとなり、3兄弟は消滅
2019年の末をもって生産が終了したトヨタのミドルクラス・セダンであるマークX。その前身となる1968年に登場したコロナ・マークII時代からカウントすると51年という長い歴史に幕を閉じたことになる。
そもそもマークII自体も当初はコロナマークII名義だったことからも分かるように、コロナから発展した車種としてコロナとクラウンの間を埋めるために生まれたものだった。
そして、3代目登場のタイミングでチェイサーが、4代目登場のタイミングでクレスタがそれぞれ兄弟車として誕生し、以降、マークIIは3兄弟となり、多くのユーザーに愛され続けてきた。兄弟車といっても、それぞれに異なる個性が与えられ、チェイサーはよりスポーティに、クレスタはより高級な仕立てとなっていたのはトヨタならではと言えるだろう。
しかし、2000年10月にマークIIがフルモデルチェンジを果たしたのに対し、チェイサーとクレスタは従来型が継続販売され、2001年6月をもって両車はオーダーストップ。3兄弟体制が崩壊することとなった。
新たな兄弟車として「ヴェロッサ」が誕生するが
もともとトヨペット店で販売されていたマークIIに対し、オート店(のちにネッツ店)で販売されたチェイサーと、ビスタ店で販売されたクレスタという風に販売チャネルごとに用意されていた車種だったのだが、マークIIがフルモデルチェンジを果たした後もしばらくは他の販売チャネル用の新規車種は用意されなかった。
しかし、マークIIのフルモデルチェンジから約9カ月遅れで、新型マークIIと共通のプラットホームを持つヴェロッサが登場。どちらかというとセダンの王道という雰囲気のマークIIに対しヴェロッサは、トヨタ車らしからぬ妖艶なボディラインを持ち、どことなくイタリア車のような雰囲気を持つモデルとなっていた。
このヴェロッサはクレスタとチェイサーの後継車種という位置づけとなっていたが、ビスタ店系列でのみの取り扱いであり、ネッツ店で取り扱われることはなかった。
これは1998年にオート店からネッツ店に変わったタイミングで、メインターゲットを若者や女性に変更したことが影響していると考えられる。そもそもすでにアルテッツァやアリストといったスポーティなイメージのセダンをラインナップしていたネッツ店に、エキゾチックなヴェロッサは不釣り合いと判断されたのだろう。
実際のところビスタ店は2004年5月にネッツ店と統合されているが、ヴェロッサもそのタイミングで販売を終了しており、2年8カ月という短命に終わった車種となっていたのである。