【文字に魂がこもる】サインライティングの魅力 クラシックカーで密かな人気
公開 : 2020.12.22 21:05
あえて「雑」な仕上げも求められる
スミスはサインライティングをアートと表現している。
一方、サリー州キャンバリーを拠点に活動するサインライター、スコット・マンサーは次のように語っている。
「昔は、サインライターの多くは画家や装飾家でした。仕事に芸術的な要素は何もありませんでした。メカニックでさえ、レースカーのレタリングやナンバリングに手を出していたのです」
こうしたアマチュアのサインライターが最高の仕事をすることはなかったが、それがかえって重要なポイントになることもあったという。
「ある顧客は、ベントレーのレーシングカー、バルナート・ハッサンをレストアしていました。最後の仕上げとして、車体のナンバーと文字をオリジナルの写真と同じように見せようとしていました」
「オリジナルは当時、レースチームのエンジニアが描いていて、よく見るとかなりラフなものでした。でも、それと全く同じように復元することを顧客が望んでいたのです。最高の仕事ではありませんでしたが、彼は喜んでくれましたよ」
他にも、高級すぎて似合わないという理由でサインを書き直してほしいと頼まれたこともあるという。
テリー・スミスとスコット・マンサーは性格の異なるサインライターだが、ビニールでは不可能な表現方法を持っている。伝統的なサインライティングの魅力はここにある。