【何が同じで、何が違う?】トヨタeパレットは、未来のハイエース? 新参者は世界の「人気車」になり得るか
公開 : 2020.12.22 15:00
サービスプロバイダーという考え方
もうひとつ、トヨタがeパレットによる狙いが、トヨタ自身がサービスプロバイダーになることだ。プロバイダーとは供給者という意味だが、けっしてトヨタが自ら「eパレット バーガー」や「eパレット 宅配便」といったサービスを作り、そこから直接利益を得ようというのではなさそうだ。
その一例として、トヨタがソフトバンクと協業する、モネテクノロジーズという企業があり、全国各地の地方自治体と連携して、地域課題解決に向けて様々な事業者の間をつなぐ活動を広めている。そこで使用するクルマは、現在はeパレットではないが、近い将来ではeパレットによるサービスにまで発展する可能性は十分にある。
トヨタとしては、モネテクノロジーズでの活動を参考として、社会全体での移動を使った様々なサービスの基盤(プラットフォーム)を作ろうとしている。これについては、NTTとの協業でこれから、様々な実験を行うことも明らかにしている。
ハードウエアとしてeパレットそのものを売り、さらにeパレットを活用した公共的な移動、または各地のトヨタ販売店と連携した商用的な移動など、eパレットの可能性はかなり広範囲におよぶと思われる。
ウーブンシティで深堀り
そして、注目は富士山麓に2021年着工される、未来都市のウーブンシティだ。2020年のCESで、豊田章男社長がサプライズで発表し、日本でも大きく報道された。
ウーブンシティでは、eパレットを使った具体的なサービスが導入され、ウーブンシティの住民が実際に、そうしたサービスを使う。ウーブンシティの詳細について、トヨタの広報資料などでは2020年末の時点で未公開。
一方で、豊田社長は2021年3月期の第2四半期決算説明会(2020年11月6日)オンライン記者会見の質疑応答の中で、2021年2月23日に現地での鍬入れ式を行うことを明らかした。「223(ふ・じ・さん)」という発想だいう。
さらに、敷地内は1区画が、150mx150m。地上にはeパレットなどの自動運転車、歩行者、小型モビリティなど3つの進路に分類される。また、夜間の商用移動などを考慮した地下道もある。初期段階での住民数は360人。内訳として、高齢者、子育て世代、さらに発明家が住む。この発明家については、その発想の実用における成果によって、入れ替えを行うという。
こうしたeパレットを含むウーブンシティの具体的な議論は、豊田社長も参加して3週間に1度の割合で行われているというのだ。eパレットは、どのようなサービス形態での、未来のハイエースになるのだろうか?