【クロスオーバーのPHEV】ルノー・キャプチャー Eテックへ試乗 上品で垢抜けた2代目

公開 : 2020.12.29 19:05  更新 : 2021.07.27 14:51

多くのユーザーが歓迎できるPHEVの能力

効きの強さは調整できないものの、回生ブレーキを積極的に利用すれば、バッテリーの充電は効果的にまかなえる。都市部などでは、EVモードで走れる状態を保ちやすい。

EVモードでは、電気モーターのうなり音をかすかに聞きながら、鋭いスタートダッシュを叶えている。環境意識や税制面を意識していなくても、歓迎できる能力だといえる。多くのユーザー層に対し、魅力的な体験を提供できると思う。

ルノー・キャプチャー Eテック・プラグイン・ハイブリッド160(英国仕様)
ルノー・キャプチャー Eテック・プラグイン・ハイブリッド160(英国仕様)

モーターが静かなぶん、ロードノイズや風切り音、サスペンションの動作音などが車内では目立っていた。もう少しの改善を求めたいところだ。

リアシートの下に搭載されたバッテリーの容量は、7.5kWh。ルノーによれば、48kmの距離をEV状態で走れるという。試乗では、比較的現実的な数字だと確認できた。

燃費は66.7km/Lがカタログに記載されているものの、日常的に実現できる数字ではない。それでも、ガソリンエンジンだけより良いことは間違いない。

電気モーターとエンジンとを効率的に利用した運転スタイルを理解すれば、日々の暮らしに付き合いやすいクルマになる。一方で動的性能の活発さでは、内燃エンジンだけのキャプチャーを超えてはいない。

フォード・プーマはフィエスタのような落ち着きと身のこなしを備えている反面、PHEVのキャプチャーはハイブリッドによる車重増を隠せてはいない。クロスオーバーのユーザーは、さほど気にしないかもしれないけれど。

クロスオーバー以上の操縦性は求めないで

郊外の道を速めのスピードで走らせると、路面の隆起部分などでは強めの衝撃が車内に届く。管理状態の悪い区間では、ステアリングやシートを通じて、細かな振動が絶え間なく伝わる。滑らかな舗装でないと、快適性は薄らいでしまう。

タイトコーナーでは、ボディロールが大きい。荒れた路面での乗り心地が優れていれば、柔らかさは許せるものの、そうではないところが残念だ。

ルノー・キャプチャー Eテック・プラグイン・ハイブリッド160(英国仕様)
ルノー・キャプチャー Eテック・プラグイン・ハイブリッド160(英国仕様)

キア・ニロPHEVのEVモードでの航続距離は57kmあるし、ミニ・クロスオーバーの動的性能は良く磨き込まれている。しかし、ルノー・キャプチャーEテックも充分な訴求力がある。

全体的なダイナミクス性能は、クロスオーバーとしての評価を下げるほどではない。ルノーらしい上品で垢抜けたスタイリングをまとい、インテリアの質感も高い。装備も充実し、快適で、良好な燃費も叶えている。

唯一、クロスオーバー以上のハンドリングは、求めないでほしい。

ルノー・キャプチャー Eテック・プラグイン・ハイブリッド160(英国仕様)のスペック

価格:3万2855ポンド(443万円)
全長:4227mm
全幅:1797mm
全高:1566mm
最高速度:172km/h
0-100km/h加速:10.1秒
燃費:66.7km/L
航続距離:48km
CO2排出量:34g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列4気筒1598cc自然吸気+AC同期モータ−
バッテリー:7.5kWhリチウムイオン
最高出力:160ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:6速オートマティック

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