【2021年どう動く?】中期経営計画から見える自動車メーカー 新型投入の日産 集約のホンダ 主流は電動化か
公開 : 2021.01.02 08:25 更新 : 2021.10.09 23:41
トヨタからはEVが続々と登場か
トヨタは中期経営計画を発表しないが、決算発表会にあわせて今後の方針などを発信している。
そのひとつとなる2019年8月の「競争力プレゼンテーション もっといいクルマづくりの中で磨き続ける競争力」では、最後に「2021年末までに新モデルを18車種投入」との記載がある。
その後、2019年にはカローラ、ライズ、グランエース、2020年には、ヤリス、ハリアー、ヤリス・クロス、RAV4 PHV、GRヤリス、レクサスUX300e、ミライという10の新モデルが登場している。つまり、残り8モデル程度が2021年末までには投入される可能性が高いというわけだ。その中のひとつが86であるのは間違いない。
また、それ以外ではEVの登場が期待できる。それは、同じ2019年6月に「EVの普及を目指して」という発表があり、そこで「超小型EV」、「立ち乗りタイプの歩行領域EV」を2020年中、eパレットを東京オリンピックにあわせて登場させるというアナウンスがあったからだ。
残念ながら2020年の「立ち乗りタイプの歩行領域EV」、eパレットの発売はなかったが、これらのモデルが消えてなくなることはないはず。2021年の発売が期待できる。
また、同発表で、グローバルでのEVラインナップを「2020年代の前半に10種以上にする」という計画も表明されている。ちなみにミディアムSUVのEVはスバルと、コンパクトEVはスズキとダイハツと共同開発を行い、リーズナブルな価格で展開するという。これらのモデルにも期待したい。
マツダは我慢の年、スバルも電動化の波に乗るか
マツダは2020年のコロナ禍の影響を鑑み、2020年11月に発表した決算説明会で「中期経営計画の見直し」を発表している。それを見ると、中期経営計画の達成時期が1年ほど先送りされていることがわかる。ただ、内容自体は変化がないようなので、投入時期が遅れるということだろう。
その内容を見ると、この先2年は「足場固め」の時期であり、「制御技術による継続的商品改良とハードウェアのアップデート」、「ラージ商品群ハードウエア」が投入されるという。
ここで注目したいのが「ラージ商品群ハードウエア」だ。これは「縦置きアーキテクチャー」、「直列6気筒エンジン」、「プラグインハイブリッド/48Vマイルドハイブリッド」、「ロータリー・エンジン技術を活用したマルチ電源化技術」だという。
つまり、FRのシャシーに直列6気筒エンジンや4気筒のプラグインハイブリッドや48Vマイルドハイブリッドを備えたモデルが誕生することを意味する。
また、「ロータリー・エンジン~」というのは、EVの走行距離を伸ばすレンジエクステンダーのことだろう。どんな車種になるのかは未定だが、マツダ6やCX-5などが縦置きパワートレインのFRベースになる可能性が高い。さらにMX-30のEV版にロータリー・エンジンのレンジエクステンダーが用意されることも予想できる。マツダの商品力がさらに上がることが期待できる。
スバルは2020年1月に「スバル技術ミーティング」を実施。そこで「2025年ビジョン」を達成するための具体策を説明した。そこで2030年代前半までに、すべてのスバル車の電動化技術適用を表明している。
また、2020年代前半に、CセグメントSUVの電気自動車とストロングハイブリッドを搭載するモデルの発売も発表している。ストロングハイブリッドはトヨタの技術を使いながらも、スバルの縦置きの水平対向エンジンに対応するように改良するという。
発表されている各社の経営計画や事業方針をまとめてみれば、見事なまでに電動化やEV導入の話ばかりであった。「2030年ガソリン車禁止」という報道もあったが、日本の自動車メーカーは、その準備がしっかりとできていると言っていいのではないだろうか。