【日本人初F1チャンピオンへ】四輪参戦たったの4年でF1昇格 角田裕毅オンライン会見 自然体の生き方
公開 : 2020.12.24 06:50
体育会系のノリ→システマティックに
60年代当時のトヨタ/日産でワークスドライバーだった方々に直接話を聞くと、先輩/後輩、またワークスとセミワークスなど、厳しい人間関係の中で、いわば体育会系の雰囲気があったという。
運転技術を磨くと同時に、精神面では気合で勝負、といった面もあった。なにせ、エンジンパワーがシャシーやタイヤの性能を遥かに超えるようになり、また衝突安全性についても発展途上にあった。まさに、命がけのレース参戦だった。
70年代に入ると、排ガス規制やオイルショックの影響でワークス活動が一気に縮小し、ドライバーの能力で資金力の大きさが増す時代が続いた。
また、80~90年代は、自動車関連以外の企業がモータースポーツを企業の広告塔として使う機会が増え、資金力のないドライバーには、協賛金獲得のための営業力も必要になった。
2000年代以降になると、自動車メーカー各社が未来のトップドライバーを目指す若者に対し、育成プログラムを充実させるようになる。
国内トップフォーミュラ、ス―パーGT、F1を含む欧州シリーズ、またアメリカのインディカーなど、メーカー系育成プログラムの卒業生たちが活躍するようになった。
そうした中で、角田選手の四輪参戦5年でF1昇格は、日本モータースポーツ史上で最も成功した事例である。
角田選手とオンラインで話した感想
そんなF1スーパールーキーの角田選手に、オンラインで話を聞いた。
ホンダが2020年12月21日午前9時から開催した、記者とのオンライン記者会見である。
まずは、記者側からの共同質問として、アブダビでのテスト走行について聞いたところ、角田選手は時系列に沿って的確かつ詳細な回答をした。
また、減速Gが大きく「今後は首のトレーニングが必須」であること、また予選アタックでは「1周の中でステアリングスイッチによりマシンセッティングを変えることに慣れる必要がある」など、F1とF2との違いを語った。
筆者からは、角田選手が憧れてきたルイス・ハミルトン選手(35)と角田選手が15歳差であることから、2035年のF1はどうなっているか、と尋ねた。
角田選手は「電動化など環境に配慮したパワートレインになっていると思うが、走行音については(迫力ある傾向としての)配慮が欲しい」と指摘。
さらに「実は、僕には野望があり……、ハミルトン選手の(現状)7回の世界チャンピオンの記録を超えたい」と、本音を漏らした。
そう語る角田選手の目は、実に自然体。
彼ならば、本当に日本人初のF1チャンピオンになれるのではないか。
オンライン越しの会話で、そう感じだ。